2ー5 Drifters had come from Westside

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 ユーラシア大陸西端の島国で奇怪な事件が起きた。それは、時代が時代ならただの出来事で済まされていたかもしれない。国の北西部、アイリッシュ海に面した大きな街からは少し離れ、かなり内陸に入る。けれども、そんな大きな街から少ししか離れていない処で出来事ではなく事件なのだ。大きな街からは巨大な断崖の切り通しと洞窟を利用したトンネルを抜け、深緑の森を迷わずに行ければ、そんなには離れてはいないように思う。

 そんな処で。そんな村で。目を疑いたくなる光景がn広がる。村の中央と思しき広場のような場所で、まだ20代であろう女性が丸太で組まれ?yた櫓の上から吊り下げられた荒縄に縛り付けられ、宙に引き上げられる。そして、その足下には多量の薪が焼べられ、ゴォーゴォーと炎を上げるたいまつが投入された。

「やめてくれぇー」


 村人たちに取り押さえられている男性が泣き叫ぶ。しかし、今回

「ママ、ダディ、どうしたの?」bg

「ソフィア、来ちゃダメだ!!」

  男性は咄嗟に振り返り、声を荒げた。自分を“ダディ”と呼んだのは、目の前で吊るされて、燃えている妻によく似たかおだちだが、まだあどけないさしかなく、この場所に来るのも大変であってろう我が娘。そんな愛娘にこんな光景は見せられない、見せてはいけない。そんな心からの叫びだった。

 だが、自分が必死に搔きわけ、撒き散らした燃えかけの薪を避けようと集まっていた群衆は散らばっていた。その為、空間が多数生まれ、容易に近づけるようになっていたのは皮肉な事態だった。


 顔面蒼白になり、驚愕の様相の彼女は叫び声を上げた。




 あっという間の出来事だった。

  空が一瞬で暗雲に包まれて、辺一帯は閃光に覆われる。直後の一瞬、残像のように稲妻の姿が現れるが、そんな認識を覚えさせる前に、衝撃波は母を拘束していた縄を引きちぎり、櫓を粉砕した。飛び散った櫓や薪の木片は周辺を火の海にするのに加勢した。そして、村は消滅した。

 地方紙やゴシップ誌はコレをセンセーショナルな事件として記事を書き上げたが、物証が乏しく、目撃者もいない。なにせ村自体が跡形もなく消滅しているのだから。







 数年後、幼女から少女に成長した彼女は隣国の大陸にいた。名をソフィー=イーゼルと現地読みにかえ、地区の病院で研修をしていた。

 外の空を見上げながら渋い銀色の長髪を前髪から全て後ろの首下で束ねて纏めている少年が、呟く。

「今日も雨でも降りそうな曇りか・・・・・・」

「彼女の心が今日も晴れないのだろう。切り替えがなかなか上手になれないからね」

顔半分を白髪に近いグレーの髪で覆っているものの、露出した首や鎖骨の周囲から続くヤケドのあとを薄っすら感じさせろ白衣の男は呟いた。


 銀髪のオールバックの少年が真剣な眼差で問う。

「あの話、考えてくれました?」

「ソフィーのジャポン留学と、遠戚にあたる井川家への養子縁組の話だったか・・・・・・。そこまでしないとダメなんだろうか!?」

「時間はないですよ」

「いっそ、妻の復讐に全て使い切ってくれれば良かったのに・・・・・・」

「あんた、自分の娘をなんだと・・・・・・」

 少年のあきれたような言葉途中、突然ドアが開き、金髪縦巻きの少女が部屋に

入ってきた。ソフィーだ。二人の会話を遮ったソフィーは2人の前に仁王立ちし、

宣言した。

「あたし、決めたの! 普通に暮らせるよーに努力するって、!!!」






 ----そして翌年。正式に井川家の養子となったソフィーは『井川爽風』と

戸籍が作られて、井川家の娘として学園の附属中学校に編入した。もちろん

地球に存する表の学園に、だ。ただ、全寮制なので、いま内郷らのいる学

園に教室が変わったところで、外部の人間がそれをわかるはずもなかった。

 爽風は井川の娘というコトでA組に編入。集中講座を難なくこなし、コッ

チの付属高校に進学した。

  家柄、成績に支障がなければ、F組への降級(クラスダウン)不可解なの

かな? 不良品の『F』ではない、と思うのだが・・・・・・。




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