12 PartーTime Job
アルバイト
すこし動揺を消せたカグラが双眼鏡のようなモノを内郷に差し出し、いった。
「そして、時々「偶然」という出会いがお互いの3次元を認識させられるのを
感じてしまった一部の地球人類は最接近した宇宙空間から渡れないかと
挑むとよ〜」
双眼鏡らしきモノを覗き込んだ内郷は、カグラに誘導されるがまま、指差す
方向に焦点を向かわせた。
「 あっ!! 」
そこには背面飛行してるっぽい宇宙飛行機らしき機が溶解していく様相と、中に
乗っていたであろう人らしき影が機から飛び出し、降下していく光景だった。
「冒険者、探検家、軍の特殊部隊………。迫害した奴らたちの地にわざわざリスクを
冒してまでも侵攻しようとしてる奴ら、覚えとくと、今後の授業に役に立つかも」
そう言ってカグラは内郷の眼前から双眼鏡らしきモノを消した。
「ヒロくん、ちょい前に出てくれはらへん?」
「あ。ごめん」
涼窩の言葉に内郷は反射的に前に進んだ。すると、足下には妖しげな魔法
陣らしきモノが展開してvいる地面。今回は内郷が進んだ陣の中心部より少し
前に涼窩が屈んでいた。まるで、そのまま内郷が前進してたら、彼の股間に
ナニカししそうな体勢だった。けれども、ソレに内郷が気づく前に怨両肩にポ
ンっと柔らかい怨那の両手が載った。
「はい!ウッチー!! アレにさわるつもりでぇ腕上げてぇー!ハイッ!!」
「はいっ」
怨那の元気のいいかけ声に内郷はつい腕を上げかけた。だがその時、これ
まで数々のモノが霧散していった光景が頭をよぎった。しかし、そんなコトを
思い浮かべる前に、カグラの布紐が腕先に絡み付き、押されたかぼように怨那
が内郷との間にはさまれ、怨那の細くて小さな肢体のぬくもりと、吐息を背中
に感じた。そして、その怨那の頭越しに、内郷の左横に見せたカグラの;艶やか
な唇が内郷の耳元で囁いた。
「なんも心配することなかさ」
内郷坊身体に大量の情報や思念が入り込み、流れていくのを感じていた。そ
れは坊や思考に働いたり、通過しているうわけではないので、『ただ、そんな
感じがする』程度のモノだが、知らないと、なんとも言えない感覚だ。電線や
水道管は毎日こんな感触や気持ちを味わっているんだろうか?!って、をぃ(汗)
そして、それらは手先、手の掌(しょう)に向かって流れていくようだった。そ
の手の周囲は薄ピンク色に霞みがかって、その手を炎華が握っていた。
カグラの布紐に引っ張られるわけでもなく、炎華に誘導されたと言うわけで
もなく、腕は自然と上がり、炎華の声が響く。
「そこで手首を上げて、手を開いて!」
反射的に、言われるがまま内郷は手を動かした。なんの手応えも感じない。
ただ、霞みが晴れて、戻った澄み渡る空の遥か向こうの上空に見えていたモノ
も消えていた。
「かっ、カグラさん!」
内郷はたまらず声を荒げた。
対して、カグラは生返事をした。
「ん?」
「心配ないって・・・!!」
切迫したような表情の内郷に対し、カグラはなんでもないかのように
平然とした顔で応えた。
「空間転移で元いたトコに帰ってもろーただけさ。涼窩にブーストかけ
てもらって、千刈ちゃんにあの一団の空間を包んでもろーて、内郷ク
ンの手先にも怨那ちゃんが行き先等を設定した念を閉じ込める空間
を置いてもろーて、、、、」
「ベラベラ他人(ひと)の能力(ちから)をバラしてんじゃないわよ」
内郷の耳元で囁き続けるカグラの言葉途中、二人の身体の間から怨
那の不満げな声が響き、次の瞬間には内郷の両肩にあった怨那の手が
密接していた二人を引き離した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます