2ー1  Begin  Late stage




 夏服という名の制服になりながらも、それぞれ独自の個性的な

格好になってくる1stステージの後期。じわじわと蒸し暑い。ま

るで地球の、日本のようだ。

 窓側に座っている金髪の巻き髪を両サイドに垂らし、後ろ髪を

頭部に纏めているソフィーが外の澄み切った青空を眺めながら、

呟いた。

「なんで日本はこんなに暑い中でも勉強するかなァ・・・・・・」

「まぁ、地球の日本でもしてますからね」

「ムっ!?」

 となりの席から口を挟んだ内郷に対して厳しい視線をソフィーは

向けると、すぐさま反対側の窓に顔を向けた。そこに内郷の席の前

に立っていた怨那が内郷をからかうように、いった。

「けど、『元』A組首席のソフィーと組んで全敗だなんて、ウッチー

もやるねぇー!!というより、よくF組に残れたよねぇ〜」

「期末テストで挽回させてもらえたんでしょ

机に片肘をついて顔を載せ、ふてくされたように内郷は、いった。


 窓側の隣に座っている両サイドにシルクのような光沢と滑らかさを持

つ金髪がクルクルと巻いて耳のあたりに垂れ下げ、膨大な量のブロンド

の後ろ髪は上方で纏めて編んで紐状にした別の髪で固定していて、勝気

な青い瞳は遠くを見ている美少女のソフィー。和名は井川爽風といい、

A組で優秀な首席として君臨していた。それが何故か中間試の後、屈辱

の降格。しかも、それがF組まで堕とされ、かつ、今回再び這い上がる

機会もあっさり消えてしまい、未だにココにいる、F組に。

 怨那の横にいた凉窩が囁くように、けれども、それに見合わない

大きな声でっr、いった。

「そーいえばさぁ、A組で次席だったドゥラパン=ヤマモトは飛び級しはった

 んやいう話やんっ。知ってはったぁ!? そんで、現次席だった奴は、『

 わたくし、A組でなければ辞退します』とか言わはって、ほんまに飛び級辞t

 退しはったらしいやんかぁ!よー知らんけど」

「凉ぅー! 声が大きいよ」

まるでソフィーをからかうような涼窩の言葉を制するように言ったつ

もりの怨那だったが、笑いをこぼしてしまった。

 隣の席のソフィーは平静を装っている様であったが、内心は穏やか

ではないようだ。彼女の周りに旋風(つむじかぜ)が1つ2つと涌いて

は消えて、それが繰り返される毎に、すこしずつ大きくなっていくの

がわかる。

 そこに、夏服のあっちこっちの露出した部分から緩やかに包帯に巻

きつかれて、なんだかエロっぽい姿のカグラが口を挟んだ。ソフィー、や

「それで、F組(ウチのクラス)からA組に初昇進したんが、ソフィーや炎華

 じゃなくて!、魔女っ子フォレスちゃんやもんねー!!笑うしかないっ

  ちゃかねー」



----A組の教室では。

半袖姿に黒マント、教室内なのに黒のとんがハットをかぶっているフォレスが

小さくかわいくクシャミした。

   『         ぶひゃぁぁああんっっ      』

 


 一方、F組の教室では、空気が変わり、内郷は緊張で顔をこわばらせた。

対戦試験のパートナーとして散々目にしてはきたが、ソフィーのスキルや

その規模は超一級。

『だから、オレを頼りにすることなく独りで突っ走りまくられたのが、多

 くの敗因なんだよなぁ。オレにナニができたかはわかりませんけどね』

 先刻まで雲一つなかった空が瞬時に暗雲に埋めつくされ、無数の稲妻が

宙を切り裂き、雷鳴を轟かせる。大きな波がくる前のように、風が凪いだ。



 その時。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る