7 Inside story
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サッカー場から内郷と炎華が出ると、そこには、怨那と涼窩、それに、和装の黒装束の藤崎紫音がいた。怨那が近付いてきて、絡みつくように、いった。
「ずいぶん仲良くなったみたいじゃーん?」
「仲良くっていうか、助けてもらったんですよ」
苦笑いする内郷。横から炎華が怨那に囁いた。
「アレはあなたが張ったんですよね?」
「なんのコト?」
「いえ・・・。間に合わなかったので、助かったなぁっと」
頭に軽く手を当て、明るく炎華は、いった。
その炎華から距離を離すように内郷が怨那に回り込むように誘導し、耳打ちした。
「五城目さん……、彼女になんかしたんですか?!」
「あいつがなんか言ってましたぁ?」
強く内郷は頷いた。
「そっかぁ。ウッチーに手を出せないよーしてただけなんだけどなぁ」
すこしてれくさそうに内郷の方に顔を向けると、微笑んでみせた。
「元B組の五城目さんに通用するんだからスゴいですよ! 呪文系ですか?それとも、遅効魔法のようなん?それとも、仕込み系のなにかでしょうか?」
「えっ!? 怨那にも………」
怨那には当然のようにその内郷の反応は予測済みではあったが、いざその様相を目にして、声や言葉を耳にした時、これはマズい !と直感した。
けれども、炎華はその空気は読めていなかった。興味津々の炎華に対し、怨那は無関心を貫こうと試る。そんな微妙な中に涼窩が割り込んで、いった。
「なぁなぁ、なんかヘンなコトされへんかったかぁ?!」
そう言って涼窩は内郷に寄り添った。とっさに口ごもる内郷。と同時に怨那が涼窩を内郷から引き剥がした。
「ドサクサに紛れてナニしてんのよー」
「ええやんかー。せっかく、ウチがヒロくんの心の傷を労ってあげよーいうんに!」
「おのれの肉欲を、の間違えじゃないー」
「なんやてー!!」
「本当のコト言われたからキレてんじゃないの?」
「キレてませーん!キレてない、キレてないよ」
涼窩は急に誰かのモノマネをしているように、戯けてみせた。
そんな二人を尻目に炎華は紫音に近付いて、いった。
「今日はありがとっ!」
「まぁ、能代地佳氏の協力もあったので…………」
「雨魅や乙葉たちの根回しが上手くいったんだと思う」
「それもあるとは思うけれど、今日は………」
「助かったのはホント! 感謝してます!」
戯けて、手を敬礼っぽく左目のすこし上に掲げて、炎華は笑ってみせた。
内郷は傍目に彼女らを見て、微笑んだ。目の前で繰り広げている怨那と涼窩のケンカを他所にきいて。
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