6 Relationships
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校内に巨大施設も複数あるので、移動には各所に保管されている動く
1人用二輪車や自動運転のセダンやバスや色々ある。内郷はサッカー場
前で停まったマイクロバスを降り、建物に入った。
広大な緑色の芝のフィールド。練習どころか観客入れて試合ができ
そうなグラウンド。内郷は取り敢えずフィールドに入らずにベンチに座
った。
「まだ来てないのかな………」
と、内郷が呟いた瞬間。フィールドの中央部から爆炎が上がり、その炎の中
から麗焔が現れた。どっかのイリュージョンか、イベントのように感じた内
郷は思わず拍手をした。
「ちょっとアンタねぇー!!」
内郷の拍手に一瞬頬を赤らめた麗焔だったが、すぐさまベンチまで駆け寄っ
て来て、叫んだ。両手を腰に当てて。
「ナンデ真ん中に立ってナイかなー?」
「フィールドの真ん中に立ってたら、俺、ヤバかったんじゃ?」
苦笑いしてみせる内郷。ちょっとムクれてみせる麗焔。
「で。見ての通り、アタシは炎系の爆裂使い! ヒロは?」
「勉強とは関係なくないですか?」
「えっ………」
内郷の態度に麗焔は驚いた。
「ちょっと待ってよ!明日のシケンは後期の成績にカンケイあるって!!
その為にはお互いの能力(ちから)を良くわかってた方がいいと。じゃなきゃ、
ナンデこの学校にキタのよ!?」
「そりゃ普通の生活、普通の人生を送る為だけど?」
「この学校に来ておいて普通?! ナニ言ってるネ!」
指先を内郷に麗焔は向けた。が、なにも起こらない。
「!!?」
不思議そうな顔をし、すこし焦ったようなフリを麗焔はした。
「アンタのあのオンナ!なんかシテくれたみたいネ!そして、この外周!?」
フィールドの方に大きく飛んで後ずさりする麗焔。
内郷の背後のベンチ裏からポニーテールの炎華が姿を見せた。
ココに来る途中のバスの中。たまたま炎華と居合わせた。そして、何を話しかけたらいいか悩んで、挙動不審の内郷に炎華の方から近付いてきた。
「せっ、千刈だっけ?! なっ、なにか?」
「五城目さんには気をつけて!」
「きっ、気をつけるって、どう気をつけるんだ?」
『どうって・・・そうねぇ……」
少し考え込む炎華。
『そんな深刻そうに、どうしたの?」
「B組に昇級したダニエルに話を聞いてね。」
((ダニエルっていうと、B組に一気に昇格したっていう金髪爽やかヤロウか・・・)
「首席がクラス全員を病院送りにしたって」
麗焔の表情が変わった。
「クラスが替わっても連絡取り合えるなんて羨ましいですね」
「それに、あなたの母国との繋がりもね。だから、聖獣と方角を封じさせ
てもらったわ」
「昇級出来なかったF組の残留者がよくそんなマネ・・・藤崎か!」
唇を噛む麗焔。
内郷は小声で炎華に訊ねた。
「藤崎って、うちのクラスの藤崎紫音さんのコト? 近くに来てるんですか?」
麗焔の方から視線を外さずに炎華は軽くうなづいた。
力を抜いた素振りを麗焔は見せると、なにかを諦めたかの表情を浮かべ、
『ソレは仕方ないネ」
麗焔の見える方向がオレンジ色に染まり、伸びる影と同時に風が流れてくる。光と風に視線と視界を奪われたのと同時に、彼女の姿は消えていた。
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