4  SUZUKA Sandane




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 校舎裏の森を抜けた処に荒野がある。さらに数キロ先にはデザート、砂漠になっているらしいが‥‥‥。だが、内郷と三種はその手前の荒野の真ん中に降ろされた。垂直離着陸機から。そして、垂直離着陸機は2人を置いて、空に消え去った。カリキュラムが終われば、わかるようになっているらしい。


 崖の上に降り立った内郷は、どこまでも断崖の岩塊が無雑作に立ち並ぶ荒野を目の前に立ちすくみ、ボヤいた。

「教室を変えるって、なぜ屋外?! それも、こんな校舎から離れたココ(荒野)なわけですかぁ??」

「君は機内での説明は聞いてなかったの? 実施試験と、相手から学ぶ、という授業。この様相はモニタリングされているし、すでに評価は始まっている。F組は野外授業は初めてなの? ま、E組の下のクラスだから、そーいうコトもあるか。。」

   制服のジャケットを脱いで、スラリとした褐色の肢体のシルエットが見えるような格好に三種はなっていた。長いサラサラの銀髪をなおし、切長の目の奥にある蒼い瞳を内郷に投げつけて。

 対する内郷はその視線を避け、とっさの言葉を並べる。

「よく話すヒトですね!」

「あら?女の子はみんなこんな感じやろ?」

すこし厳しい口調で言ったつもりの内郷に対して、なにやら持ってきたバッグの中から取り出して、軽く応えながら準備していた。

「なっ、ナニをしてるんですか?!」

「ナニって、そりゃ授業の準備に決まってるやないの」

 三種は妖艶に笑うと、いつの間にか書かれていた円とヒンドゥー文字?いや、サンスクリット語?らしき文字の円、その内側に複雑に絡み合う幾つもの円、その図形の中央にペットボトルを高く掲げ、水を流し込むように、下を向けた。

水が宙で渦を巻き、まるで宙に穴でも空いてるかのように、地面に向かって吸い込まれていくかの光景。そして、次の瞬間。

周囲が急に有色の煙に包まれていく。内郷は慌てて口を手で押さえた。

「No probleme! 普通に呼吸して!」

「えっ?!」

手を口から退けても別に苦しくない‥‥。そして、別に煙くもない。視界がすこし悪いが、目に違和感を感じるわけでもない。しばらくすると、煙もなくなった。地上に刻まれていた?図形も消えていた。

「これは‥‥‥?」

「しゃがーるじゃがーるさむーる‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

「えっ?」

「あのモニュメントみたいな岩に向かって、両手を広げて、宙を押してみて!」

不思議そうな顔をしながらも、内郷は三種の言われるがまま両手を広げて、モニュメントみたいな岩塊に向かって腕を突き出した。

しばらく何事も起こらなかったが、内郷が安堵したように力を抜いて、手を下ろした瞬間。ガラっという音と共に霧散した。


上空が緑色に光り輝き、どこからとなくファンファーレのようなメロディが流れる。どこからでも結果が視認、気付くように。

「合格のようね」

三種は妖艶に微笑む。

よく状況が内郷には見えていなかった。しかし、そのスゴい状況に確実に関わらされたのはわかる。

「俺はどうしたらいいんだ? 自分の腕なのに、アブなくて動かせないんだが?」

「No probleme! Only one chance! 手間と苦労のわりにこんだけー」

そして、軽くウィンクすると、いった。

「ソレと、これからは涼窩(すずか)って呼んでやー。うちもヒロくん言うたるからー」


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