3 Top seats
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「はぁーい!座って座って!!」
一見、若い感じの女性教師らしき人物が入ってきた。このFクラスの担当らしい。これといった指導を受けた覚えはないが、時々現れて、連絡事項を伝えに来る。おそらく今もなにかの連絡があるのではないだろうか。
すると、廊下のほうからまるで転校生のように余所余所しく並ぶ生徒らしき女性たち。
「五城目、三種、能代、井川、いずれも上からの降格者だ! すぐにまた上の組に昇格してしまうかもしれんが、仲良くやってくれ!!」
「あのぉ‥‥‥‥。男子生徒はいないんですか?」
「なんだぁー?石巻。 異性にキョーミあるお年頃なのはわかるが‥‥‥」
すこし怪訝な表情を浮かべた後、ヤラしく笑みを見せ、女性教師はそう言った。怨那は両手を前に振り、即座に否定する。
「ちっがいますよぉー」
「そうか。男子の降格者はゼロだ!当面は内郷だけで我慢してくれ!」
「我慢って‥‥。ソレ、ヒドくないですか〜」
「ああ。すまんすまん。石巻は内郷がいればいいんだったな」
すこし投げやりにも聞こえる女性教師の言葉に教室の各所で小さな笑い声が漏れる。
今日、入ってきた金髪ロング縦巻き髪の井川爽風(いがわそふぃ)はA組からの降格らしい。ソフィー=イエガーという名前もある某ブリテンの血筋らしいが、降格の理由は本人も良くわかっていない様相だ。1番廊下側にいたし。
B組からの編入だという五城目麗熖(ごじょうもくれいえん)は髪を頭の天辺に纏めてるコトが多いそうだ。スタイルが良く、締まっているとこは締まっているが、動きは滑らかだとか。まあ、勉学には関係ないけど。
C組からの降格だという能代地佳(のしろちよ)は降格に結構ショックを受けているとか。背は小さいのだけれど、掌はとても大きいそうだ。
1番教壇側にいた三種涼窩(さんだねすずか)はE組からの降格だそうだ。今まで行われた試験結果はE組では常に上位だったのに、降格(クラスダウン)。でも、地佳のようにショックを受けている様相はなく、爽風のように困惑もしていない。「あなたにもその内わかるわ」と切れ長の目の中の瞳を軽くこっちに向け、席に着いた。耳の金のアクセサリーを揺らしながら。
両手を大きく叩き、大きな音を立てる女性教諭。
「ほらっ!各自席に着いたらDon't quiet! 今日の試験を始めます!」
彼女の厳しい口調に思わず誰もが姿勢を正し、注目した。
「今日は2人1組でやってもらうわよ!」
「んじゃ、あたしはウッチーとぉー!!」
怨那はそう言うと内郷の腕を獲った。すると。
「コラコラ!もうペアリングは決まっている!! 石巻、お前は五城目と組んでもらう! それと、内郷は三種と! 」
「え〜〜〜〜っ」
すこしムクれたような表情を怨那は見せると、内郷の顔を見て、笑顔で言い放った。
「浮気するなよ」
「それ以前に付き合ってないと思うんだが?」
「それってヒドくなーい?!」
笑って返す内郷の言葉に怨那は詰め寄った。そこに、
「そんなんはわからんやろ? 吊り橋効果いうのもありますしー」
間に涼窩の声が割って入った。怨那はそれに食って、返した。
そんなオレ達の様相を流すように女性教諭は他のペアリングを発表していく。
「……………能代はそこで寝てる平川と、井川は三沢と! 誰と組むかわからない人はいるぅ!? いなければ、教室を変えるわよ!! 移動の準備して!」
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