第2話(ゲンナイ弐式)

 平賀源内と名乗った男の近くに、乗りモノのような珍しい機体があった。


「コラっ、勝手にそんなデカブツを運び込みおって! くびねるぞ!」

「これは航時空機こうじくうきゲンナイ弐式にしきです」

「ゲンナイだかナンだか知らぬが、じき燃えてしまうぞ?」

「いえいえ、大丈夫です」

「大丈夫なわけなかろう! このうつけ者めが!」

「モノは試しです。乗ってみて丁髷ちょんまげ、なんてね」

「このようなときに戯言ざれごとはよさぬか!」

「申しわけございません。でもこのゲンナイ弐式に乗れば、これからくる火の手から瞬時に逃れることができまする」

「偽りを申しておるなら、即刻オヌシの頸を刎ねる」

「ええどうぞ、偽りだったなら、そうしてくだされ。えへへ」


 珍しいモノには興味を示しやすい性格の信長であるからして、勧められた通りゲンナイ弐式に乗った。

 やや遅れて源内も乗り込み、機体の運転席に備わっている棒を操作した。

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