第61話
「凛々花ちゃんおかえり」
「……累ちゃん」
「聞いたよ、ヤミ陰陽師に襲われたって。大丈夫? どこも痛いところない?」
「うん、大丈夫だよ」
忠幸に送られた凛々花がコーポしじょうに入ると、待ち構えていたような累が駆け寄ってきた。
「あんまり人数多いようだったら、僕たちも出動だったんだけど……、一人だから待機で終わったんだ。本当に大丈夫?」
「本当だよ、ありがとう」
累がパタパタと凛々花の体を軽く叩いて、傷がないかを探す。
「よかった……」
ほっと累が息をつくと、後ろからバタバタと陰陽師組がなだれ込んできた。
「凛々花ちゃん大丈夫か⁉︎」
「芳昌さんマジで言葉足んねーよ何が『状況終了、待機は解いて良い』だよ何も終了できてねーよこっちは!」
「待機中ってご飯食べられないから嫌ぁい」
「なこちゃん、そう言うことじゃないと思うよ……」
「さねちゃんに抱きつかれてるのずるい羨ましい」
口々に喋り出す五人に圧倒される。
「今日は全員いるんですね……?」
「ああ、待機だったからな」
出月が凛々花の顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「なんかあったらすぐに言えよ。同じ屋根の下の家族なんだから」
ポンと凛々花の頭を撫でた出月が、その横を通り過ぎて玄関に向かう。
「出月にい、どこ行くの?」
「陰陽寮。隼も行くか?」
「何しにー?」
そう言いながら、隼も出月の後についていく。
「芳昌さんのとこ。行くぞ」
「はーい。じゃあ、女子たち留守番よろしく!」
玄関を出て行った二人。残された男子の雅が真っ青な顔をしている。
「ま、待って、僕も……!」
「つもりんはだめ。私たちと勉強会するの」
走り出した雅の首根っこを掴んで制止する奈那子。雅は「ぐえっ」と喉を締められた。
「勉強……?」
「つもりんが一番頭いいんだから」
「なんの?」
「陰陽師の」
パチリと、雅と凛々花の目が合う。
「いつまで経ってもつもりんと凛々花ちゃんの勉強会の予定が立たないから」
「まだ何日も経ってないですけど⁉︎」
「だからその前哨戦として、私たちも混えて勉強会をします。コーポしじょう勉強会。第ゼロ回」
「なこちゃん、僕の話聞いて⁉︎」
雅は奈那子に、凛々花は累に手を引かれて、共有スペースに連れて行かれる。涼香はするりと累の腕をとっていて、悲鳴を上げられていた。
「じゃ、目標二時間ね!」
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