幕間 カンパニュラ -後悔-
「よう、久しぶり」
晴れた青空、心地よい風が吹く大地で俺は笑顔で手を振ってそう言う。
返答は無い。
流石にあれだけ壮絶な別れをすれば、話しかけることは出来ても、会話は出来ないだろう。
「ごめんな…高校に入ってから、全然会えなくてさ…いや、彼女が出来た訳じゃないぞ?俺はまだお前の事…って、流石に気持ち悪いよな…」
俺は何とか会話を試みるも、案の定返答は無い。
それでも俺は口を開いて会話を試みる。
とは言え、数年も会っていなければどう言った話をすれば良いのかなんてわからなくなってしまうものだ。
最近あった俺が楽しかった事とか話したところで、果たしてそれを面白いと思うのだろうか?
もしかしたら、恨まれるかもしれない。
「あ、戦吾なら変わってないよ。高校入ってもアイツはアイツだ。寧ろ、あの高校に入ったお陰で関わりが増えたくらいだ。戦吾のお陰で学校に行けてるようなもんだな」
話題を捻り出そうとして、俺は親友である戦吾の事を話し始める。
俺が言葉を掛けている相手は、戦吾とも仲が良かった。だから、戦吾の話をすれば良いのかと思って話してみた。
やっぱり返答は無い。
「ごめん…また一方的に話しちまった…また来るよ、次はいつになるかわからないけど」
俺はなんだか虚しくなって、置く物置いて逃げるようにその場を去った。
直後、少しだけ強い風が吹いて、どこからともなく花びらが舞い飛んだ。
その花びらは、風鈴草…カンパニュラの花弁だった。
ちなみにカンパニュラの花言葉は、様々なものがあるが、俺が知っているのは“感謝”と“後悔”だ。
「皮肉だな…」
そう呟いて、俺はポケットに手を突っ込んでその場を去った。
なんで俺はカンパニュラを選んだんだろうな。
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