赤いきつねは3分待ちバリカタ派の私が、緑のたぬき10分置き柔麺派の彼と恋の予感!?出会いはいつもカップ麺から

シーラ

第1話


さあ、始まりましたっ!解説するのは私、みんな大好きマルちゃんです!


今回の主人公は、慌ただしく部屋で通学の準備をしている彼女、赤井H実ちゃん。今日から東洋水産高校に通う1年生だ。


「あ、いっけな〜い」


H実ちゃん、どうしたのかっ!?おおっと、今日の朝ごはんを選んでいたから遅刻しそうだぞ。急いでお湯をいれたカップを片手に玄関で靴を履いていると、お母さんから忘れ物だとタイマーを渡される。なんて几帳面なお母さんだ。私ならバリカタでも柔麺でも何でもどちらも好きだから時間なんて気にしない!


そうこうしている内に、タイマーをポケットに仕舞い家から駆け出すH実ちゃん。そんなに駆けると左手で持つカップ麺から汁が溢れそうだ。何故蓋の上にダシの袋を置いているんだ。風で飛んでいくぞ!そんな危険を顧みない、そんな君は主人公っ!


ドンッ!


「いった〜い!どこ見て歩いているのよ!」


きました〜!定番の出会いですっ!コーナーを曲がろうとしたら、人にぶつかった〜!!

こけそうになるH実ちゃんを支えてくれるこの人は、男性ですっ!学生服を見るに、同じ東洋水産っ!力強い手でH実ちゃんを支える彼は、まさにヒーロー!カップ麺も無事ですっ!!


「すんまへん。大丈夫でっか?」


緑のネクタイが似合う、垂れ目の男性。優しい顔のイケメンだ〜!さあ、2人はこの瞬間、目と目が合って……ない!ないですっ!彼はH実ちゃんの右手を凝視しているっ!!


「お前さん、それ。緑のたぬき北海道限定品やんか。凄いレアな品や。何処で手に入れたん?」


「えっ、えっ?」


「おお、すまんすまん」


優しく彼がH実ちゃんを立たせ、襟首を正す。口元を上げて笑う顔に、私も胸がどきりとしたっ!!一つ一つの仕草もイケメンでありますっ!!


「ワシは翠野E太。2年生や」


「わ、私は赤井H実といいます。1年です」


「可愛い子やなぁ。顔も、こう、シュッとしとって。赤い子ぎつねちゃんやな。なんか、初めて会った気がしない。…そや!お前さんに見せたい物があるんや」


E太先輩が鞄に手を入れました!何かを取り出そうとしているっ!あれかっ!思い出の品を見せて、実は幼なじみだった展開かっ!!フラグは立つのかっ!!


『パンパカパーン!パンパラパーン!できたよー!』


……し、失礼しました。つい興奮して。ここでH実ちゃんのポケットに入っているタイマーが鳴り響きました。おおっと、このタイマー。東洋水産キャンペーン商品!ホットヌードル光るおしゃべりタイマーですっ!平成9年の物が現在も使用されているとは、H実ちゃん一家は長年東洋水産のファンである事が確定されましたね。


「あっ!大変!急いで食べないと柔麺になっちゃう!E太先輩失礼します!」


H実ちゃんは麺の硬さは3分が好みのようです。その場でカップ麺にダシを入れて、懐から取り出したマイ箸でかき混ぜていくっ!

おおっ!?よく見ると、箸もキャンペーン商品、マルちゃん箸ですっ!!黄色い色が赤いきつねに生えて良いコントラスト。自然を大切にする彼女はエコロジスト。


「あ、待ってや!」


早く啜りたいのか、カップ麺片手に学校に駆けていくH実ちゃん。引き止める事が出来ず見送るE太の手には、こ、これは赤いきつね東日本向けの商品だっ!


「ホンマ、可愛い子やったわぁ」


フラグが立ちましたぁっ!!これで、ここからが恋の始まり……おい、カメラどうした、ん?…こ、これは。皆様、学校の屋上をご覧下さい。屋上でカップ麺を啜っている学生がいます!力強い啜りはバリカタの内に食べてしまいたい欲望が表れているようです!こういうタイプはグイグイ系と相場が決まっています!

手元をご覧下さい!こ、これは。西日本向け赤いきつねだっ!彼の足元には関西向け赤いきつねもいる!彼は一体何者かっ!胸に輝くネームプレートを見てみましょう。『緑乃』とかかれてあります。彼もヒーローだっ!!


H実ちゃんのこれからの学校生活、どうなる事でしょう!?おっと、そろそろお時間です。続きは製品版で。では、またお会いしましょう。


お相手は、マルちゃんでした〜。





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