第2話 驚きの事実
だが、俺ら警察だって何もしていなかったわけではない。
少女と繋がっていると言われている闇組織に所属している男を一人捕まえたのだ。
今現在、取り調べ中である。
―1時間後―
どうやら、例の男が口を割ったらしい。
闇組織の名は、ポーカージャック。
やはり少女と繋がっていた。
その男は、ある幹部の1人の側近だったため、いろいろな情報を知っていた。
そこには、驚くべき事実があった。
少女の親は、少女と同じく殺し屋だった。
殺し屋同士が愛し合い、少女を生んだ。
少女の両親は、己の職業が[殺し屋]という黒に染まったものだったため、少女も普通の人生を歩めないだろうと考え、身の安全を守る術すべとして、空手などとナイフの扱い方などを教えた。少女は才能があったのか、みるみる上達した。それを偶然、ポーカージャックのリーダー、通称ポーカーに見られてしまった。ポーカーは少女を攫い、毒殺とハッキングの技術を教えた。そして5年前、殺し屋になることを拒み続ける少女に対し、少女の両親を連れてきて拷問を始めた。苦痛にあえぐ両親を目前にして固まっている少女に対して、ポーカーは言った。
「君が殺し屋になれば、君の両親は助けましょう。お金も上げます。
さあ、どうしますか?」
最愛の両親を人質にとられ、少女は殺し屋をせざるを得なくなった。
報酬は、一人殺すごとに500万。
子供には大きすぎる額だ。しかし、人、1人の命が500万でやりとりされていると思うと、安いし、何よりひどいと思う。
とにかく、少女は脅されているから人を殺しているだけであり、本当はやりたくないらしい。
報酬のお金の一部で花を買い、殺した人の墓に供えているそうだ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
と、涙をこぼしながら。
『私は、彼女が毎回、必ず紫色のヒヤシンスの花をいれているのに気づいたんです。
知ってますか、ヒヤシンスの西洋の花言葉。「ごめんなさい。」「私を許して。」
なんですよ。』
本人だって分かっているだろう。たとえ謝ったとしても、死んだ人の命は帰ってこないと。それでも、謝るしか懺悔のすべを知らないから、ひたすら謝る。
そんな姿をひそかに見守っていたという男は、
「どうか少女を助けてやってください」
と言っているそうだ。
今の話は全て、同期の坂本から聞いた。
俺は、【小さな殺し屋さん】の事件の担当チームではないから、その事件の担当チームにいる坂本から、こうして情報を取得している。
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