第3話 ブラックキャット
そういえば、と坂本が言った。
男が言ったらしい。
次の集会は、月明かりの下、黒猫の目が光る場所だと。
その場所の名だけはどうしても口を割らない。
他のことは話すのに……。
なんとも不思議な話だ。
月明かりの下、ということは夜の可能性が高い。
黒猫の目が光る……どこだ?
はっ、と思い当たる場所があった。
黒猫をそのまま英語に直すと、ブラックキャットだ。
ぼったくりバーで有名なそういう名前の店がある。
しかもそこには黒猫が一匹いて、目が自ら光を発しているようで怖いと聞いたことがある。
警察官という職業柄、不思議なことを言われると謎解きだと思って深く考えてしまうことが多いだろう。
そこを突いた問題だったのだろうか。
坂本に伝えて、確認をとってもらうと、男はこう言ったらしい。
「やはり、謎解きは慣れている人が作らないと単純になって面白くないですね。
明日、十時から貸し切りです。どうか、間に合ってください。
あの子が、暴れる前に。」
『あの子』とは、少女のことだろうか。
とりあえず、何かしら騒動が起こることは間違いなさそうだ。
気を付けて行かねばならない。
俺は、担当チームではなかったが、もちろん行くつもりである。
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