LET’S人間界 その6
「パイン殿? その~、もしやその魔力結晶、魔力切れなのではないか、な?」
そこへ声を掛けたのは、今までリングスとパインのお供をかけて争っていた爺だった。
その爺の顔にはなぜか引きつった笑みが浮かんでおり、誰の目から見ても足が震えているのがわかる。
「魔力切れ? 私はこれを購入してから一度も使った記憶がありませんが」
「では、その、確かめてみてはどうかな? わしの予想が正しければ、魔力切れだと思うが」
何を根拠に……と訝しげな目を爺に向けながらパインは渋々と言った様子で両手で持った魔力結晶に呼びかけた。
「
呼びかけに応じるかのごとく魔力結晶がほのかな紫色の光を帯び、その上に魔界文字が三つ浮かび上がった。
「三桁まで減ってる……」
これにはさすがのパインも驚きを隠せなかった。
「これは一体どういうことです?」
「いや、私にもさっぱり、ですな、ははは、は、はは」
もはや誰の目にも明らかな爺の動揺に、怒りよりも呆れが先行してしまったパインは、おもわずこめかみに手を当ててしまった。
「爺、この魔力結晶はあなたが使ったんですか?」
「いえ、それは、えっと、その、す、すみませんでした!!」
一通りの接続詞を紡ぎ出したものの、パインの眼力の前には成す術なくあえなく撃沈した爺であった。
予想通りの展開だなーと傍観するメイド&兵士&赤ちゃんに絶賛愚痴り中の魔王が周りを囲む中、粛々と魔力結晶をめぐる尋問が幕を開けた。
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