LET’S人間界 その5
「これは?」
「
「上位魔法一発分!?」
セリアは叫んだ後、咄嗟に口を手で塞ぎ、赤ちゃんに目を向けた。
また泣きはじめるのではないかと危惧したセリアは、魔王の愚痴を聞かされぽかんとした顔をする赤ちゃんを見たことで、自分の考えが杞憂に終わったことを察したのだった。
セリアが驚くのは無理もない。
「世の理に囚われず、破壊し創造する力か」
不意に放った爺の言葉が全て。
その力が手のひらに乗るほどの赤く光る結晶体一つで発動できるというのだ。
「そして門の召喚は中位魔法に当たるので、余裕で召喚が行えます」
どうせ召喚しなければならないのですから今のうちにしてしまいましょうーーそう言ってパインは薬品庫の方を向くと、魔力結晶を乗せた右手を肩の高さでまっすぐ伸ばし、目の前の空間に呼びかけた。
「決して交わらぬ世と世とを繋ぐ架け橋となれ。オープンザゲート――――門よ開け」
すると魔力結晶がまばゆい光を放ち、目の前に門が出現・・・・・・するはずだったが何も起こらず、パインは右手を上げたままの格好で立ち尽くすのみだ。
「あ・・・・・・れ?」
「どうしたの?」
「魔術が発動しないのです。おかしいですね」
珍しく慌てているパインはどこに異常があるのかと、魔力結晶を両手でくるくる回転させながら眺め見た。
しかし、不発の理由に心当たりがないのか首を傾げるばかりだ。
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