こんにちは赤ちゃん。私が魔王です。 その2
「こ、こちらです」
「ありがとうございます」
ハリルのオドオドとした対応に、ほんの少し顔をしかめつつパインは赤ちゃんと対面した。
するとたちまちのうちに笑顔になり感嘆の声を上げた。
「わぁ・・・・・・。可愛い」
「「え?」」
パインと魔王以外の驚きの声が医務室を包んだ。
無理もないだろう。
メイド達にとってパインは完全無欠の鉄のメイド。その存在は神にも等しい存在であるにも関わらず、今眼前で赤ちゃん相手に顔を綻ばせているのだ。
加えて、兵士にとってもパインはクール&ビューティーを体現したような存在であり、ボンテージ衣装と鞭の似合う女王様であるにもかかわらず、赤ちゃんに微笑みかけるという母性に溢れる姿を見せられたために新たなフェチズムに目覚めようとしているのだ。
「何か驚くことでも? ゼクス? あなたたち?」
ジト目というか切れ長の目によって半ば睨みつけるようになってしまっている瞳で、パインはメイド達と後ろの兵士――――ゼクスを振り返り、見つめた。
特に大きな声が出たゼクスには名指しだった。
「いえ、何も!」
「なんでもないですぞ、パイン殿」
「ふむ、まあいいです」
あまりにもわざとらしい笑顔で否定されたが、追求は無駄だと悟りパインはとりあえず納得した。
「つうか、俺にも赤ん坊見せてくれよ!」
魔王はメイド達に後ろにどいてもらい、ベッドの横から眠る赤ちゃんを見つめた。
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