第110話 体育祭・終了編
体育祭は競技が全て終了。集計され、結果発表です。当然我が1年3組が優勝いたしました。
クラスを代表して学園長からアルディン様がトロフィーを受け取ります。いい笑顔ですな。
「さて、今年のMVPを発表します」
学園長が話を続ける。MVPなんてあるんだ。へー。超他人事な私。
「MVPは、1年3組ロザリンド=ローゼンベルク嬢!」
「はい?」
「呼ばれましてよ!」
ミルフィや皆に背中を押される。えええ、いらない!
壇上でアルディン様と目があった。いらぬなら、押し付けてしまえホトトギス(意味不明)
姿勢を正して学園長を見る。学園長が金メダルをくれようとするが、首を振った。
「真にMVPに相応しい方は他におります。私はその方に言われて今回参加したにすぎません。クラスを盛り上げ、引っ張ったのは、我がクラスのアルディン様です。アルディン様こそMVPに相応しいと考えます」
うん。嘘ついてない!皆との練習セッティングしたり、場所を確保したり、すごくすごく頑張ってましたよ!私は参加してアドバイスしただけだよ。
「ふむ。では1年3組、アルディン=クリスティア君、壇上へ」
「俺は…うん。学園長、メダルをいただけますか?」
アルディン様はメダルを受け取り、割った。
「…え?」
メダルは綺麗に真っ二つである。周囲も私も呆然としている。アルディン様はリボンのついた半分を私の首にかけた。
「ロザリンドが居なきゃ、優勝は無理だった。認めてくれてありがとう。だからメダルは半分だ」
ニカッと笑うアルディン様。さすがにこれは断れない。私も苦笑した。
「はい。では半分こで」
「今年のMVPは、1年3組アルディン=クリスティア君とロザリンド=ローゼンベルク嬢とする!」
歓声が聞こえる。
「嬢ちゃん、立派だったぞぉぉぉ!!」
「ロザリンドちゃん、さすがじゃああああ!!」
「団長、落ち着いて!」
「実力行使で黙らすよ、ジジイ!」
うちの応援団、声でかいなぁ…フィズ、スイ…ありがとう。止められなくとも2人の努力は忘れません。
そして、体育祭はラストに最上級生全員で全属性同時同調術を使い、空にオーロラと虹を出現させて終わりました。魔法学科のある学校ならではですね。
さて、会場の片付けを手伝うかなぁと考えていたら、上級生…主に獣人に囲まれました。え?何?こんな人目があるとこで、ケンカですか?買うぞと身構える。アルディン様がとっさに私を庇おうと前に出る。ミルフィも警戒した面持ちだ。
上級生は一斉にひざまずいた。
「…は?」
この姿勢、見たことある。ちょっと前にどっかの脳みそ筋肉がやってたよ。嫌な予感しかしない!
「ロザリンド嬢」
「却下!!」
聞かない、了承しない!私は拒否の姿勢を示した。復活したアルディン様は困惑している。
「話くらい聞いてやった「聞かない!嫌な予感しかしない!私は主になんかなりません!厄介な従僕はうちの銀色狼さんだけでお腹いっぱいです!」
「あるじ?」
アルディン様の話を遮り叫ぶ私。しかし他の獣人達はキラキラした瞳でこちらを見た。
「さすがは我らが主!すでに銀狼族の従僕を従えているのですね!?」
「だから主にはならない!」
「いいじゃないか、主」
軽々と私を抱っこする脳みそ筋肉英雄。いつの間に来たんだ。
「さすがは我が主だな。こんなに従僕を増やすとは」
「私は許可してません、しません!こんなに要りません!ジェラルディンさんだけでお腹いっぱいです!」
「そうか?主は欲が無いな。群れは大きくしたいものじゃないのか?」
「そもそも、群れじゃなぁぁい!!」
「主、我らは主の強さ、敗者も怪我をさせぬようにとの気遣い、さらには先程の謙虚さに感服いたしました」
「違うから!強さはともかく、優しさは普通だし謙虚さは目立つのやだからアルディン様に押し付けようとしてしくじっただけだから!」
「ロザリンド…」
アルディン様が微妙な表情ですが、私は必死です。
「むしろアルディン様を主にしてください!優しさ、強さ、カリスマ、権力!どれをとっても素晴らしいですよ!私が認めた人物です。先程の言葉は嘘じゃないですし!頑張りやさんなんですよ!」
「嘘じゃないならいい…のかな?」
アルディン様は納得しましたが、他は頑固でした。
「我らが認めたのは貴女です」
「だから、主になんかならなぁぁぁい!!」
私の必死の説得で大量の従僕ゲットは免れました。しかし…
「おはようございます、姐御!」
「今日もかわいいっすね、姐御!」
上級生からも姐御呼び。しかも男女問わず。クスクス笑いながら、ラビーシャちゃんに言われました。
「学校のボスになるなんて、さすがは私のご主人様ですね」
「だから、私は普通がいいんだってばぁぁぁぁ!!」
私の悲痛な叫びがこだました。
ロザリンド、7歳。学校の獣人達からボス認定されちゃいました。
どうしてこうなった!?
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