第94話 魔がさした

 ちなみに、前回の改変

・ドーベル→500円ハゲ回避

・脳みそ筋肉軍団→リストラと家庭崩壊回避


 あのままだとストレスでドーベルさんがハゲる。


 そしてアルフィージ殿下が政務に参加したら、リストラされます。書類できない騎士とか要らないよね?という感じで。

 次の次はシリアスになるかもなんで、今回は久しぶりに兄に登場です。




 脳みそ筋肉軍団のせいで疲れた私。学校が休みなので温室で読書でもと思ったら、マッチョネスト=サボテンがひなたぼっこをしていた。




「…光合成?いい天気だもんね」




 気にせず読書しようとしたら、庭いじりをしていたらしい兄が来ました。




「ロザリンド、このサボテンモンスター明らかに成長してるよね?」




「…最近進化しました」




「…報告」




「喜んで!!」










 兄にひとしきり説明すると、頭を抱えました。




「僕の天啓と肥料のせいもあるかも…」




 肥料は兄ブレンドの特別製らしいです。




「…あげたんですか?」




「他の魔法植物に使ってたら、欲しいアピールされたから…」




 兄は優しいから分けたらしいです。マグチェリアの異常成長も促したならば、更なる進化も可能?


 この時、私は魔がさしました。




「兄様、その肥料まだある?」




「何するつもり?」




「進化させたいかなと…マッチョネストよりゴールデンサボテンのが可愛い気がするし」




「…まぁ、うん」




 マッチョネストは可愛く…なくもないかもしれないが、圧迫感あるし、出来ればもとに戻したい。次の進化は金色のサボテンでサイズは走るサボテンと同じだから、マシではないか。


 兄は肥料を取ってきた。サボテンの足元に撒いてやる。私はサボテン達に意思を確認した。




「魔力、いる?」




 4体のサボテンが手を挙げた。欲しいらしい。




「いつもお仕事手伝ってくれてありがとう」




「僕もあげるよ。ロザリンドを助けてくれてありがとう」




 私と兄の魔力を受け、サボテン達は光を放った…え?光??




「え?」


「は?」














 神々しく輝くサボテン。その虹色の輝きはまさしく…








 SSSランク、超激レアモンスター!


 レジェンディア=キングシャボテン!!










 ゲーム内では見かけただけでラッキーという、メ○ルキングよりレアな倒せば異常な経験値が手に入るモンスターである。ただし倒すのは難しく、2ターンで大体逃げてしまう。まぐれでクリティカルを狙うしか倒す方法がないモンスターである。リンも1回は会ったが、案の定逃げられました。




「あ、あわわわわ…スイ!スイ様ー!!」




「何か用?ロザリンド…」




 輝くレジェンディア=キングシャボテンを見て固まるスイ。




「…馬鹿なの?ついこの間、進化させて後悔してたよね!?しかもなんなの!?何で数段階すっ飛ばして進化しちゃったの!?」




 キレるスイにおずおずと挙手する兄。




「多分僕も魔力をあげたし、僕の天啓と肥料のせいもあるかも…」




「…肥料?何これ…すごい魔力と…養分?これどうしたの?」




「僕が今派遣されてる魔法院の魔法植物用特別肥料にもともと僕が考案した魔法植物用肥料を混ぜたやつ」




「……混ぜるな危険!!つまり、ロザリンドの規格外全属性魔力+緑の手の魔力+異常肥料によりもたらされた結果か!」




 つまり、チート+チート=スゴイチートという方程式。




「さ、サボテンさん、目立たないように出来ない?」




「デキマスヨ」




「「しゃべった!?」」




「最上位モンスターなんだからしゃべるぐらい出来るよ」




 びっくりする兄と私に冷静なスイ。いや、そんな常識知らないから。




 レジェンディア=キングシャボテンは瞬時に見慣れた走るサボテンに変わった。


 彼らいわく、彼らの特殊能力である擬態により、ある程度姿を自由に変えられるらしい。だからレジェンディア=キングシャボテンは超激レアモンスターだったのか。普段は擬態してたんだね。




「コレヲ」




 綺麗な虹色の走るサボテンの形をした石を渡された。兄も渡された。




「スベテノサボテンハ、アナタタチノトモダチ。ミンナアナタタチヲタスケル」




「ヨカッタネー、それはサボテンの心って激レアアイテムだよ。このレジェンディア=キングシャボテンどころか、全てのサボテンモンスターが2人に従うよ。召喚も出来るよ。オメデトー」




「「……」」




 絶句する私と兄。そこにふわりと兄の精霊、フィルが現れる。小学生ぐらいの姿をした緑の美少女だ。兄の手伝いをしていたのだろう。農作業スタイルなのが残念だ。




「ルー、まだお話して………………なんでレジェンディア=キングシャボテンがこんなに居るの!?しかもその持ってるやつ、サボテンの心!?私が剪定してる間に何が起きたの!?」




 擬態してても緑の精霊には解るらしい。返事をしたくない私達兄妹に代わり、スイ(毒舌)が返事をした。




「…ロザリンドの規格外全属性魔力とルーの天啓と魔力に異常肥料が混ざった結果」




「……………なんでそんなことしたの!?」




「…魔がさした」




 私は俯きぽつりと告げました。そう、魔がさした。




「だってだって!マッチョネスト=サボテンよりゴールデンサボテンのが可愛いから、軽い気持ちで進化しないかなと思ったら!」




「「そもそも軽い気持ちで進化を促すな!!」」




 緑の精霊×2からツッコミがきました。正論です。




「フタリトモ、ロザリンドトルーヲシカラナイデクレ」




「ワレラガノゾンダノダ」




「ワレラハヤサシイフタリガダイスキダ」




「ワレラノセイデシカラレルノハ、ツライ」




 次々とレジェンディア=キングシャボテン達が私達をかばう。なんて優しいサボテンなんだ!スイとフィルはため息をついた。




「「次から軽い気持ちで進化はさせないように!」」




「「はい!!」」




 即座に返事をする私と兄。軽い気持ちでまさかの進化し過ぎをやらかすなんて、誰が予測しただろうか。


 さすがに私も次はない!余計な事はしないに限ると学んだ一日でした。

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