第92話 書類と脳みそ筋肉一網打尽計画
さて、午後のお仕事スタートです。各自書類に取りかかり、待つことしばし。
「本当に、何故こんなにもひど過ぎる書類が多いのだ!」
我慢が限界に達したらしいロスワイデ候爵子息がキレました。
「ロザリンド、もう1回殲滅してこい。オレが許す」
もうオネエの皮は捨てたんですか?目が本気と書いてマジと読むになってますよ、アデイルさん。
「確かに、これはひど過ぎる。ロザリンド、よろしく」
1番穏健派のディルクにも見放されたね。脳みそ筋肉達よ。
「あっはっは」
ドーベルさん、実はずっと静かにキレてたのかな…怖いんだけど。
皆様からの指示で私が行くことに。正直それが手っ取り早いもんね!ロザリンド、再発進です!書類を直さない脳筋達を殲滅しますよ!
「ただいまー」
「ちなみにロザリンドはどうやって書類を直させてるの?」
「私またはサボテンに勝てたら見逃す。負けたら直せという単純なルールです」
「…納得した」
「ちなみにサボテンより強そうな相手は私が心折れるまで叩きのめします。特にディルクを無視しやがった輩は念入りに折っときました」
「骨!?心!?」
「どちらにしても大惨事の予感しかしないな。自業自得とはいえ、同情する」
アンタは私を何だと思ってるんですか?ロスワイデ候爵子息や。大惨事って。
「両方ですね。常習犯限定ですが」
「まさかの両方だった!?」
驚愕するディルク。いや、両方ですよ。相手が思ったより強かった上に諦めなかったから、折ろうと思ってやったわけではないけども。
「大丈夫、ちゃんと治してきたよ!」
「治せばいいってモンでもねぇだろ!!」
オネエの皮は消えたらしいアデイルさん。
「いや、任務と書類が出来ないと意味がないから」
「変な所は冷静だな!」
「当然です。本末転倒じゃ意味がありません。地道にコツコツと…脳みそ筋肉達に繰り返し苦痛を与えることで、書類はキチンとやらねばならないと学習させるのです」
「「「……」」」
「1回で学習します?脳みそ筋肉ですよ。体に刻み込むぐらいしなきゃダメですよ」
「一瞬納得しかけたが、それで本当に物理的に刻み込む奴がいるか!」
「ここに居ます!」
「少しはためらえ!」
「洗脳とどっちにするか迷いましたが、面倒なんで物理にしました」
「何故もっと平和的手段が出てこない!」
「じゃあロスワイデ候爵子息、平和的手段を考えてください」
「…は、話し合い」
「そんな時間は」
「…ないな」
「そもそも話し合いで解決するならロスワイデ候爵子息とディルクだけでどうにかなりますよ」
「ぐっ…」
「脅迫するのもネタ調べるとか手間かかるしな。手段選ばねぇなら効率的っちゃ効率的か」
「私の鍛練にもなり、一石二鳥です」
脳みそ筋肉軍団には古参の強者も多数居るから、書類に飽き飽きしているロザリアのストレス発散にも役立っています。
「そもそも従わなければ武力行使可と許可をルドルフさんからいただいてますからね」
「最初から武力も視野に入ってたの?」
呆れた様子のディルク。いいえ、違います。
「あくまでも保険だったのです。宰相執務室には比較的まともな奴しか来なかったんで予想を大幅に下回ってました」
「…さすがにまずいのは修正してたからね」
ぽつり、とドーベルさんが呟いた。哀愁漂ってます!お疲れ様です!!
「…ドーベルさんが居なかったら、騎士団が成り立たないのでは…あんなふざけた書類だしたら父に予算を切られ…それだ!」
両手を叩く。閃きましたよ!
「ロスワイデ候爵子息!効率的かつ平和的に脳みそ筋肉を矯正する素晴らしい案を思いつきました!」
「言ってみろ」
「ドーベルさんが騎士団から居なくなればいいんです!」
「え?クビですか?」
「違いますよ~」
私はにんまりと笑いました。
「あ、悪だくみする時の表情だ。嫌な予感しかしない」
いやいや、毎日毎日躾るのもなかなか大変ですからね。脳みそ筋肉一網打尽計画です!
計画内容を話すと、皆なんとも言えない表情になりました。
「うわぁ…」
「確かにそれは…平和的…か?」
「確かに効果はありそうだな」
「いやぁ、ロザリンドさんは賢いですねぇ」
「ふむ。ロザリンドは悪賢いな」
「ふはは!頼りになる我に感謝するがよい!」
顔が引き攣るディルク、微妙そうなロスワイデ候爵子息、納得した様子のアデイルさん。
ドーベルさんに上げられて聖獣様に落とされた気がしますが、気にしません!
闇様は最近本当にありがとうございます。お礼は何がいいですかと聞いたら、最近楽しいからいらないとのこと。しばらくおやつリクエスト権をあげたら、喜びました。何かこちらで考えようと思います。
計画は今日準備して明日実行になりました。頑張ります!
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