第87話 ディルクともふもふ
恒例のいちゃいちゃタイム発動です。
苦手な方はスルーでお願いします。
今日は学校がお休み。そしてディルクもお休み。というわけでデートですよ!
前回ディルクが買ってくれたワインレッドのワンピースと靴。髪に鈴蘭のヘアピンをつける。迎えにきたディルクは嬉しそうに笑った。
「とてもよく似合ってるよ、ロザリンド」
彼も私が選んだ服を着てくれていた。ディルクは緊張した様子で私に言った。
「今日は俺の実家に行こう。親父は居ないから、誰にも邪魔されないだろうし」
「はい。楽しみです」
というわけで、久しぶりにバートン邸につきました。
「何か必要があれば呼ぶけど、それ以外では部屋に寄らないように」
出迎えてくれた執事さんに告げて、ディルクのお部屋に入れてもらいました。
「物が無いね」
「暮らしてるのは騎士寮だからね。この部屋に来るのはどのぐらいぶりかな…でも、もとからこんな感じだったかも。本が無いぐらいだね」
「本?」
「冒険小説が好きでね。大好きな小説の主人公みたくなりたくて、騎士になったんだ。俺は獣人だったから、主人公みたいにはなれなかったけど」
「その冒険小説がディルクの原点?」
「そうかも。今度読んでみる?」
「うん、読む。さて、ディルク。上着脱いで?」
「ほ、本当にするの?」
ディルクは尻尾が丸まり、耳もへたっている。怯えているのかな。可愛いなぁ。
「します。私がどれだけ我慢したか…!我が家のもふもふの誘惑に耐えて耐えて耐えたんですよ!匂い全くしないでしょ!」
ディルクは私の首に鼻を寄せる。
「うん。俺の匂いしかしない」
ディルクはとても嬉しそうだ。
「というわけで、ご褒美ください。あ、子供達を褒めるのに頭撫でるのは許可してくれます?不自然なんで」
ディルクをベッドに素早く押し倒し、ボタンをぷちぷち外す。見事な筋肉だなぁ。ディルクは細いがしっかり筋肉がついている。
「あ、頭撫でるのもやめてたの?ちょっと待って!俺まだ獣化してない!」
待ってと言いつつ抵抗しないので、ディルクの腹筋をナデナデする。うむ、硬い。
「うん。もふもふではないけどダメかなぁと。子供達に事情は話しました」
「ひゃ、あ…あ、頭撫でるのはいいよ。とりあえずお腹撫でないで。くすぐったい」
ディルクは首まで真っ赤になり、涙目である。可愛いなぁ。胸を撫でつつ耳を甘噛みする。
「にゃあ!?ちょ、む、胸もだめ!」
慌てて胸をガードするディルク。にゃあって…私の萌えが爆発するんじゃなかろうか。今のディルクは悪い男に悪戯された乙女のようだ。色気がハンパない。
「ディルク、他は触らない。ディルクだけにするんだよね」
すり、と頬に擦り寄る。耳元で囁いた。自分でも予想外に甘ったるい声が出た。
「私を、満足させて?」
「ロザリンド…」
ディルクはトロンとした瞳で抵抗をやめた。彼の身体を観察する。
「細かい傷痕が多いね」
傷痕をなぞる。なぞる度に彼がビクリとする。
「あ、気持ち、悪い?」
「ううん。でもディルクにあんまり怪我して欲しくないかな」
ディルクは私の手に擦り寄り、キスをした。
「気をつける」
「…そうして」
騎士という仕事だから、怪我しないのは無理だろう。私の意思を汲んでくれる優しさが嬉しい。
「さて、そろそろ獣化して?」
「あ、あう…まだするの?」
「うん。ジェンドなんか事情話したのに獣化して誘惑するんだよ。私の欲求不満を満たしてください。私は耐えました。むしろここからが本番です」
「…ジェンドは懲りてないんだね。本番…い、今までもかなり俺大変だったんですが!?」
「まだ私満足してない。ディルクを撫でてモフってブラシかけたい。まだ触ってないとこたくさんあるし。大丈夫。気持ちよくしてあげる」
「大丈夫な気がしない…うう…手加減してください」
ディルクは獣化して俯せになった。首筋にスリスリする。
「…石鹸の匂いがする」
「く、来る前お風呂入ったから」
今日はあらかじめもふる宣言してたからかな?乙女か。私より女子力高いな。最近騎士に女子力で負けてる気配がするのは何故…
「…次からなしで」
「なんで!?」
「ディルクの匂いが解りにくい」
「嗅ぐ気!?」
私は無言でニッコリした。私は匂いフェチでは多分ない。ディルクフェチではあるが。
「それもあるけど、マーキングにならないから」
「あ…」
「騎士団は男性が多いし、最近は獣人も増えたよね。獣人にしか解らないけど、どうせなら虫よけにしたい」
「わかった」
そして、封印されし我がゴールデンフィンガーが解禁されました。
「にゃあん…ふにゃあ…」
黒豹ってセクシーですよね。トロンと蕩けた瞳で私に身体を委ねるディルク…色気にあてられそうです。声も甘ったるく、尻尾も擦り寄り…甘えモード全開です。
「可愛い…」
月並みな言葉しか出ませんが、この萌えを叫びたい!私のディルクは世界一!奇跡の生き物です!
ぺろり、と口を舐められました。獣化したディルクとキスすると、毛がちくちくしてくすぐったい。喉を撫でるとゴロゴロと鳴らす。
「…ディルクってさ、獣性強くなってない?前はそんなにゃあにゃあ言わなかったよね?」
ディルクがビシリと固まった。無自覚だったらしい。
「は?俺にゃあにゃあ言ってる?」
私は無言でディルクの尻尾を撫でた。
「にゃあ…ん」
「…最近よく獣化すると言ってますよ。しかも甘えん坊になってますよね」
「あああああうううう…獣性は多分強くなってる。ジェンドの時にも思ったけど、衝動が抑え切れない時がある。甘えは獣性がロザリンドに…つがいに反応してるからと…俺がロザリンドをす…好きだから」
こ ろ す き か
ヤバいヤバいヤバい!ディルクがディルクが素敵過ぎる!!
返事も出来ず固まる私にディルクは獣化を解いてそっとキスをした。
「ロザリンドは俺がよく笑うようになったって、前言ったよね」
「うん」
「今の俺は、好きだった小説の主人公よりずっと幸せだよ。君のおかげだ。ロザリンドが居てくれて良かった」
「ディルク…」
「だから、18歳を一緒に越えよう。俺は何があってもずっと、ロザリンドの味方だよ」
ディルクは多分、今回の私の不安を知っている。彼だけに、私は予測も含めた全てを語ってしまった。彼も辛いはずなのに、宣言通りに私を甘やかす。
本当なら、私の婚約者はディルクである必要はなかった。私の未来を回避するだけなら、多分アルフィージ様辺りが適任だっただろう。権力的にも能力的にも、彼はパートナーとして最適だ。
最初はゲームキャラへの憧れも混ざっていた。いつからかな?ゲームの彼は遠くなってしまった。今、目の前のディルクしか私は見ていない。
「私、ディルクを選んで良かった。ディルクとずっとずっと居たい」
それは私の…私達の願いだ。衝動のままに彼を力加減も何もなく抱きしめ、泣き出した。背中に爪を立ててしまったかもしれない。縋るようにしがみつく。離さないで、離れたくないと願った。涙が溢れて止まらない。
これからへの不安、ロザリアが繰り返しこびりついた越えられない18歳への恐怖…ディルクは私を受け止めて、何も言わずにただ宥めるように撫で続けた。
安心出来る腕の中で、いつしか私は眠りについた。
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