第62話 夜ばいですか?

恒例のイチャイチャタイムです。

苦手な方はスルーでお願いします。



 エンドレスお説教が終わり、私とディルクは真っすぐ歩けなくなったりしつつ、今夜は就寝となりました。


 いや、本当は私まだやりたいこととかあるのですよ。証拠をまとめて確実に追い詰める準備とか。でも、お肌に悪いし大人に任せて寝なさいと寝室に放りこまれました。




 寝室でなんとなく寝付けずにいると、闇の中に気配がしました。私に気配を殺して近づいてくる。相手は1人。男だな。即座にロザリアにバトンタッチ。男が手を伸ばした瞬間、素早く男をベッドに押し付けつつ関節をきめる。




「あ、あたたたた」




「…ディルク?」




 まさかのディルクでした。拘束を解き、ベッドの上で向かい合う。




「夜ばい?夜ばい自体はやぶさかではないけど、明日足腰立たなくなるのはちょっと…」




 首を傾げる私。即座に防音結界を展開する。ディルクは真っ赤になって反論した。




「ち、違うから!あ、足腰たたなくって…そういうのはし、しないから!今はそんな場合じゃないし!」




「じゃあどうしたの?」




 ディルクは私の手を取った。真っ赤でうつむいて、それでも私に伝えてきた。




「眠れなかった。ロザリンドが刺されそうになる瞬間が目に焼き付いて、怖くて…どうしても会いたくなった。寝ててもいいからロザリンドはここにいて、生きてるって安心したかった」




 私はぽす、とディルクの胸に頭を寄せた。




「安心した?」




「うん」




「私も眠れなかった」




「うん」




「今日は一緒に寝ようか」




「…うん?」




「添い寝を所望します。私今日頑張ったからご褒美ちょうだい。腕枕付きがいいな」




「だ、だめ。俺の理性が多分もたない」




「今までの経験上大丈夫だよ。私も安心、ディルクも安心。私体温高いしあったかいからよく寝れるよ、きっと」




 ディルクを押し倒す。暗闇の中、顔を真っ赤にして涙目の私の婚約者。黒いお耳がプルプルしている。出来心でお耳を甘噛みしてみた。




「ひゃん!」




 ディルクは口元を押さえている。可愛いなぁ。お耳をもう一度甘噛みする。




「あんっ」




 ヤバい、クセになりそう。もう一回…というところで、身体を反転させられ、逆に押し倒される格好になりました。




 あ、やべ。




 これはマズイ。私は押してはならないスイッチを連打したらしい。フェロモン全開のディルク様が降臨してしまった。




「ロザリンド…」




 ちょ、マズイマズイマズイ!視線だけで妊娠出来そうなぐらいフェロモンが…!今度は私が固まる番みたいです。




 耳に舌が差し込まれる。ちゅ、ぐち、と湿った音がする。




「あ、や、ディルク、ひぁんっ」




 あばばばば、ナニコレナニコレ、くすぐったい上になんか卑猥なんですがぁぁぁ。




「やめ、て」




 耳元ではぁはぁしないでぇぇ!息、息がぁぁぁ!




「あんまりからかうと、食べちゃうよ?」




 仕上げとばかりにちゅ、とキスをされました。キス、物足りない。




「や…もっと…」




 また耳をペロペロ…違うぅ!そっちはもういいの!




「ちが、ちゅーして!ディルクのちゅーが欲しいのぉ!」




「へ?」




「ディルク、ちゅー」




 ディルクはそっと私から離れると、四つん這いでプルプルしていました。




「クッソ可愛い!もうううナニソレナニソレ、ちゅーしてとか殺す気!?俺誘われてるの!?ロザリンドが可愛すぎて死ねる!いや生きる!」




 ディルクが壊れました。しばらくブツブツいってましたが、かまって欲しくて私から近寄って猫みたいに腕にスリスリします。あざといかなと思いつつ、上目遣いでひとこと。




「…かまって?」




「どうしてロザリンドはそんなに可愛いの!俺がおかしくなりそう…もうおかしくなってるんだけど!」




「んー、女の子は好きな相手に可愛いと思われたいものです。私が可愛いのであれば、それは私がディルクに可愛いと思われたくて努力しているから、という部分もありますよ」




「…そっか。俺はロザリンドにかっこいいとか頼りになるって思われたいけど上手くいかないなぁ」




 しゅんとするディルク。安定の可愛さです。しかしディルクの魅力は可愛さだけではない。私は素直な気持ちを伝えた。




「ディルクはかっこいいですよ?素敵な黒い毛並みはセクシーですし、戦ってる時の真剣なお顔はかっこ良すぎてときめきます。それに頼りにしてます。今日だって、私は万が一の時はディルクが必ず助けてくれると信じきってましたから、ナイフで襲われても一切恐怖はありませんでした。私の呼びかけに応えてジェンドも助けてくれて、かっこよかったし」




「…本当?」




「はい。いつもありがとうございます」




 私は頷く。ディルクは自己評価が低いよなぁ。ディルクは嬉しそうに笑った。少しでも私の思いが伝わったらいい。




「ディルク、寝よう」




 ディルクはベッドに入ると優しく私を抱きしめる。




「大好きなロザリンド、おやすみ」




「大好きなディルク、明日も明後日もずっと私と居てね。おやすみなさい」




「…うん」




 いたわるように優しく私を撫でる手が心地好くて、安心できる腕の中で私はすぐに眠りに落ちた。


















 朝、またしてもマーサに見つかりました。




「ディルク様に夜ばいをする気概がおありとは…予想外でした」




「してませんから!」




 涙目で否定するディルク。機能不全でも?と真顔でマーサに聞かれてディルクは必死に否定してました。この大騒ぎで家族も来てしまいました。




 今朝もエンドレス説教の予感です。

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