第11話 職員室……じゃなかった、謁見の間に来なさい

 とりあえずアークの分もお茶をいれて、ほのぼのティータイムをしていました。




 ノックと共に身なりのいい貴族の文官さんが入室しました。




「さ、さささ宰相様におかれまちては…おかえまして…国王陛下がお呼びです」




 2回も噛んだうえ諦めたよ!大丈夫かな、この人。




「断る」




「「え」」




 文官さんと私がハモりました。え?国王陛下、1番偉いんだよね?しかも今仕事無いのにいいの?おまけにお呼びだしされる心当たりが、今日だけで少なく見積もっても3件はありますよ??




「忙しい。陛下に用があるなら自分から来いと伝えろ」




「えええええ」




 文官さん、涙目。仕方なく加勢することにした。




「とうたま、いこ?」




 父の服の裾を掴んでクイクイ引っ張る。




「ね?」




 首を傾げる。




「うむ。仕方あるまい。貴様、案内しろ」




 父、陥落。


 アーク、笑いすぎて痙攣しない。


 文官さん、気持ちはわかるけど拝まないでください。私にご利益はありません。




 さて、重厚な扉をひらくと、一際きらびやかな謁見の間です。ゲームでも見たわー。あ、この絨毯の刺繍スゴイ。




 朱色の素晴らしい刺繍が施された絨毯の先にはRPGにありがちな玉座がある。座ってるのが王様かな。




 王様若いなー。ゲームはこれから13年後からのスタートだから当然だけど。


 あ、聖獣様発見!隅っこのクッションがあるスペースでひなたぼっこしてらっしゃる。私もぜひ参加したい。




「よく来たな」




「仕方なくな」




 父、正直だな。この2人幼なじみなんだよね。あ、アークもだから3人?仲は良くなさそう。




「手短かに言え」




「昼、多数の部署から苦情が来た」




「娘が迷子になり探していた」




 すいません、はぐれた上にもふもふに目が眩んで…いや、聖獣様が立派な毛並みなのも悪いんですよ!




「…風魔法による書類運搬はともかく、サボテンによる運搬で苦情が殺到した」




 やっぱり。そんな気はしてたよ。




「運搬に文句があるならその分人員をよこせ。私が何ヶ月まともに仕事が終わらない状況か把握しての言動か?」




「……お前の職場に人員派遣はしたが、お前にも問題はあるだろう」




「軟弱な文官が悪い」




 うん。双方退かず、平行線です。私の出番かしら、と発言しようと思ったら聖獣様が近寄ってきた。




『大人の話は退屈だろう。共に昼寝するがよい。先程から眠いのだろう。幼子は昼寝するものだ』




 なんて気が利く聖獣様でしょうか。ついでにもふもふもよろしいですか?喜んで一緒に昼寝したいけども、さすがにまずい。




「ねむいのですが、わたしがきほんとうじちゃなので…」




「は?」




「おうたま、はじめまちて。ロザリアともうちまちゅ」




 淑女の礼をとりつつ、更に告げる。




「あのサボテンたんは、わたしのせいれいスイがちょうかんちていまちた。とうたまはわるくないです」




 父はため息をつくと私を撫でた。その瞳はとても優しい。




「許可したのは私だ。ロザリア、眠たいのか」




「あい」




 やばい、自覚したら本当に眠たくなってきた。いつも寝てる時間だもんね。ふらふらする。




 何かに引っ張られ、ぽすりともふもふに顔を埋める私。聖獣様にしっぽで引っ張られて聖獣様の上に倒れ込んだ模様。


 やばい。ぬくい。しかも極上布団の匂い。もうだめだ。




 すでに眠気が限界だった私は、あっという間に意識がなくなり眠ってしまった。

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