第9話 学校では
俺は一日の授業を受けたが、ブラックは俺の肩から降りてくれた。
肩こりにならなくてよかったが、ブラックは何をしていたかと言うと寝てばかり。
どこで寝ているかというと、俺の机の上。
透明になっているブラックは見えないけど、実態はあるので、机の上が狭くなる。
だから他の奴がみたら、俺は変な姿勢でノートを取っていることになる、教科書もブラックの上に置いているので、たぶん、他からみたら変なふうに浮いているように見えるかも。
時々は、机の上じゃなく、俺の足の上に乗って寝ている、これで俺を守ることができるんだろうか。
今日は体育は無いからいいけど、その時は、どうするんだろう?
まさか走らされるときにも肩に乗っかっているんじゃないだろうか?
プールの時期は過ぎたが、まさか、泳いでいる時に背中に乗っているとか、猫泳ぎとか?
変な空想になった。
*
今は放課後になっているので、俺は家へと向かっている。
1人で家へ帰って行っているように見えるが肩にはブラックが乗っている。
後ろから‥‥‥タッタッタッと走ってくる音がしたと思ったら背中を「バシッ」と叩かれた。
「お兄、ブラックは、どうしたの?」
背中を叩いたのは陽葵だったが、肩に乗っているとは言えず。
「さぁ、散歩したら、戻ってくるんじゃないか?」
「そうなんだ、あ〜ブラックでモフモフしたいんだよね」
「お前、そんなに猫が好きだったのか?」
「うん、最近は特にね」
「最近、好きになったんだ」と話していたら急に肩が軽くなった。
道端の草の間から「にゃ〜」と言いながらブラックが出てきた。
こいつ演技しているな。
「あっ、ブラック、どこに行ってたの?」と陽葵が駆け寄るがブラックは喋らない。
ブラックを抱き上げて頬ずりしている。
「ん〜やっぱり猫ちゃんはいいよね、モフモフで」
「ほら、帰るぞ」と行って歩き出す。
「あっ、待ってよ」とブラックを胸に抱いて走ってくる。
ブラックが猫らしく「にゃ〜ん」と鳴く
「ん、ブラック、お散歩してお腹、減ったの?」
そうすると調子良くブラックが「にゃ〜ん」と鳴く
「そうか、よし、よし、帰ったら食事しようか?」
またブラックが「にゃ〜ん」となく。
「お兄、ブラック、話がわかるのかな?」
「プッ‥‥‥いや、猫だから、そんなことないだろう」思わず吹き出しそうになってブラックから睨まれた。
「ブラックちゃ〜ん、えらいね、モフモフだね」とブラックの頭を撫でる。
それで機嫌をよくしたブラックは「にゃ〜ん」と嬉しそうな声を出した。
陽葵には気に入られたみたいだが、俺とは、うまくいっていない。
「帰るぞ」と俺がいうとブラックを抱いた陽葵が歩き始める。
陽葵に抱き抱えられたブラックが、突然、陽葵から飛び降りて走り出す。
「ちょっとブラック、どこにいくのよ」と陽葵はブラックを追いかけようとしたが、猫の足の方が早かった。
ブラックは突然、草むらに入り込み草むらが騒がしい‥‥‥
「おしっこでもしているんじゃないか?」
「それなら、いいんだけど、でもあの草むら、ちょっと変じゃない?」
「いいや、そんなことないさ」
「そお」
「おい、ブラックにゆっくりトイレさせてやれ」と言って陽葵の手をとって強引に歩き出す。
「あっ、お兄、ちょっと、待ってよ、早いよ」
俺はできるだけ、ここから離れることを選んだ。
もちろんブラックのトイレの匂いじゃない
なんだか嫌な予感がしたんだ。
*
俺たちが家に帰って、しばらくしてブラックは家に帰ってきた。
玄関の扉をガリガリするので、母親が開けてあげると、ブラックは一目散に二階への階段を上がっていく。
「あっ、ちょっと、ブラック」と母親
「ねぇ、ブラックが上に上がっていったから、足を拭いておいてね」
「うん、わかったよ」
母親からの声でブラックが帰ってきたことを知った俺は、すぐに扉を開けた。
そこにはブラックがちょこんと座って待っていた。
「おかえり」
「にゃ〜ん」と言ってブラックは俺の部屋に入っていく。
部屋の中に入ったブラックはベットの上に乗っかった。
「ブラック、ありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
「奴らは?」
「もちろんです、もちろん私が勝ちました」
「どこも怪我していない?」
「当然、あんな奴ら、私には敵いませんから」
「そうなんだ」
「はい」
「しかし、今回は1人でしたけど、数人なら、また話は違います」
「えっ、数人もいるの?」
「はい、奴らはグループですから」
「俺も何かできることはないの?」
「そうですね‥‥‥」というと、どこからわからないけど、ものを出した。
「これは‥‥‥」
「はい、ここの世界での銃とは違いますが、光線銃ですね」
「光線銃?」
「はい、それなら、奴らを倒すことができます」
「これ、俺がもらっていいの?」
「はい、いいですよ、私は、他にも持っていますので」
どこに持っているんだろうか? 見たところ毛皮しかないけど‥‥‥
毛皮のどこかに異空間に通じるものがあるんだろうか?
俺がブラックをじ〜っと見ていたせいか?
ブラックが「もう、あげませんよ」と言った。
気を取り直して「ブラック、今日の帰りに襲ってきたのは?」
「はい、以前から、昴様を狙っている奴らですね」
「あの、黒い‥ひ‥と?」
「そうですね」
「それで倒したの?」
「いいえ、逃げられました」
「そうなんだ」
「はい、申し訳ありません」
「いや、いいんだけど」
「昴様、そろそろ、ご飯に行きませんか?戦ったからお腹減っちゃって」と言いながら、お腹を鳴らすブラック。
「よし、じゃ、行こうか?」
と俺が言って扉を開けてやると、俺よりも先に足元をすり抜ける。
しかし、そこには妹の陽葵がいた。
「あっ、ブラック」と陽葵がつぶやくと、追いかけてブラックを抱っこした。
ブラックは諦めて、陽葵に抱っこされたまま、階段を降りていく。
「ねぇ、お兄とブラックって仲がいいよね」
「そうか?」
俺はブラックと顔を見合わせる。
そうするとブラックが、”ニヤッ”と笑った。
陽葵が先に階段を降りていく。
俺も陽葵のあとに続いて降りていくが、肩に抱かれたブラックが俺をジーッと見ている。
ダイニングに降りてきて、俺は席について、陽葵と母親が料理を置いてくれるが、ブラックには同じ料理が並べられる。
「本当にいいのかしら?」と母親
「うん、いいみたいだよ」と俺はブラックの夕飯が俺たちと同じなのを気にしている母親に答えた。
「まぁ、少しは味付けを薄くすればいいんじゃない?」と陽葵
「さぁ、食べましょう」と母親。
もうブラックは食べ始めている。
「ブラック、今日は一緒にお風呂入りましょう」と陽葵
そうするとブラックの奴が、ガタガタ震え出して、食べることもやめて、逃げようとする。
「あっ、こら、ブラック」と椅子から降りてきた陽葵に捕まった。
「お母さん、先にブラックをお風呂に入れてくるね」
「ええ、それがいいわね」とブラックと共にお風呂に入りに行った。
ブラックはお風呂が嫌いみたいだ。
しばらくして陽葵が「お母さん、お願い」と声を風呂場からかけてきた。
母親が席を立ち、風呂場に行く。
俺は食事を終えて、食後のコーヒーを淹れて飲んでいる。
そこにタオルに包まれたブラックが母親に抱っこされてやってきた。
ブラックと俺は一瞬、顔を見合わせる。
今度は俺の方がニヤッとした。
初めてブラックに勝った
ブラックは水は嫌がるみたいだけど、ドライヤーで毛を乾かすときには、気持ちそさそうにしている。
乾いた後は、食べ残しを食べているブラック。
しばらくすると裸にタオルを巻いた陽葵がダイニングの入り口に顔だけ出して「お兄、こっち見ないでよ」と
「ああ、わかっているよ。見ないよ」という前に後ろから、ささっと通り過ぎ、二階に上がって行った。
ブラックが食事を終えて、陽葵も食べ終わって、俺は二階の自分の部屋にブラックと共に戻ってきた。
俺の部屋に入った途端、ブラックが「はぁ、驚きました、まさかお風呂に入れられるとは」と
「陽葵と入れてよかっただろう?」
「いえいえ、タオル巻いていましたから、残念ながら‥‥‥でも、それどころじゃなかったですよ。シャンプーで洗うし、お湯かけるし」
「お風呂が気に入った?」
「それ、皮肉ですか?」と爪を出す。
「やるのか?」と俺もなぜか、手の平を曲げて猫の手みたいにする。
俺の背後から風が出て、「2人ともやめなさい」と舞が出てきた。
また、いつも、どこからくるのか、わからないけど‥‥‥
「これは、これは舞様、失礼しましました、昴のしつけをしていたところで」
「‥‥‥」俺はブラックの言い方に反論できなかった。
「はい、2人とも、もうおしまいだよ、仲良くやってくれないと」
「はい、それは、もう、仲良いですよ」とブラック
「そうかな?」と舞
仲が良いわけないじゃないか!
「あっ、そうだ、舞、また、襲ってきたみたいなんだ、昼間っから」
「そうですよ、私がいなかったら、昴は死んでいました」と言い出した。
「おま‥‥‥」と言いかけてやめた。
「えっ、明るいうちから狙われたの?」
「はい、そうです」とブラック
「かわいい妹様とアホ昴と私が歩いているときに、奴らは、襲ってきましたから、私が返り討ちにしました」
「猶予はないっていうことだね」
「そんな感じです、舞様」
舞が俺の方を向いて「いい、昴、時間の進み方が違うみたい、本当なら、まだ10年くらいは余裕があると思っていたけど」
俺にはなんのことかわからない‥‥‥
「時間が早くなっているんだ。だからのんびりしていられないよ、昴」
なんだか、物騒な話をしている舞。
「いい、昴、時間がないんだよ」
「えっ、なんの時間がないの?」舞が俺に顔を寄せて詰め寄る。
「そ、それは‥‥‥でも昴のせいで、この世界は無くなっちゃうかもしれないんだ」と舞の声が悲しそう。
「舞、はっきり行ってくれないとわからないよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
作者:お読みくださりありがとうございます。
お読みくださったあとは、評価をできたらお願いしております。
できるだけ良い評価をしていただけるように頑張りますのでブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価が何よりも小説を書くための励みになっております。
誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。
また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば訂正しています。
異世界ではなく現実世界に起きた物語ですから、主人公の昴と舞の物語をお楽しみいただければ幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます