第14話 猫、来たる?①

子供の頃、祖母が猫を飼っていた。祖母の家によく泊まったが、その時見た猫は大人の猫。いつも座布団や自分がその時に気に入った場所で寝ていた。私はあえてかまいに行った覚えはなかったが、それでも三毛猫の柔らかい毛並みをうっすら覚えている。


それと猫の思い出がもう一つ。

祖母の家の猫は甘える猫ではなかったので小学生の私とは付かず離れず。でも決して小さなお客さんである私を嫌っている訳ではなかった。なぜなら猫は私にプレゼントをくれたのである。


ある朝、猫は眠っている私の枕元にやってきて、それからお気に入りの座布団の上で丸まった。布団の中にいた私は枕元に黒いものを見つけ、寝ぼけまなこで手を伸ばした。その黒いものはカサカサとしたもの。

なんだろう?

自分の手の中のモノを引き寄せた。


それはステキなプレゼントだった。猫はわざわざ狩りをして捕らえた獲物を小さなお客にプレゼントしてくれたのである。猫の気持ちがこもったステキなプレゼント。

しかし、、、、


ありがとう。でもごめん。

猫よ、これは無理。

これが好きな人間はいない。

ゴキブリは。


小学生の私は叫びそうになったものの、ゴキブリを握った我が手に絶句。慌てて洗面所に手を洗いに行った。でも猫に怒った記憶はない。私がアワアワ言いながら手を洗いに行ったのを猫はのんびりと見ていた。たぶんその姿に拍子抜けしたのかもしれない。


私にとって猫の印象は祖母の家の猫である。かまって欲しいとしつこく訴えることもなくのんびりしている。でも人間を無視するわけではなく、マイペースで関わってくる。それが猫のイメージ。猫ならば私でも飼えるかも?


私は猫を飼うべくアクションを起こした。

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