第13話 ジェリーが死んだ⑬

ペットロスは新しいペットを飼うのがいいのよね。

返す言葉を失った。


それはそうかもしれない。生きている犬とふれあえば確かに癒されるだろう。だが、かわいいねと頭を撫でてやることはできてもウチにおいでとは言えない。私の犬はジェリーだけなのである。


そうですねと返したものの、私の心はガラガラとシャッターを下ろしてしまった。もう犬は飼わない。飼えない。

動物病院を出て、力なく帰り道に着いた。

まだジェリーが死んで1ヶ月も経たないのに他の子なんて考えられない。ジェリー、ごめんね。心の中で手を合わせた。


夜、娘が帰ってきた。まだ暗い顔をしていることが多い娘。それでも最近はようやく笑顔を見せてくれることもある。しかし相変わらず声は小さい。

どうすれば娘の声が戻る?

親として何かしてやれることはあるんじゃないか。

娘の夕食の食器を洗いながら悶々と自問自答を繰り返した。


やはり新たにモフモフの子を迎えるべき?

でも犬は絶対ダメ。

じゃあ何を?今まで飼った小さな動物はちょっとしたことで死んでしまった。

じゃあジェリーぐらいの大きさの動物?


ジェリーにあまり散歩をさせてやれなかったこと、これからどんどん自分が年をとり体力が落ちることを考えると手のかかる動物は無理。


じゃあ…猫?

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