第10話 ジェリーが死んだ⑩
ジェリー、ジェリー、ジェリー。
いろんな想いが混ざって言葉にならなかった。辛い時、悲しい時、いつも側にいてくれたジェリー。私の愚痴をハイハイというような顔で聞き流してくれたジェリー。ジェリーの頭や背中を撫でていると、そのモフモフにどれほど癒されたことか。私はこの日からことあるごとに白木の位牌を抱きしめて涙をこぼした。
次の日より毎朝、新しい水とご飯にオヤツを供え、お花の水を取り替える。ろうそくに火を灯し、線香に火をつける。そして般若心経を読み、手を合わす。その後は極力ジェリーの側にいる。位牌にジェリーがいる気がして位牌の上を撫でているとまるでジェリーの頭を撫でて
いるように思えてしまう。
ジェリー、いい子だね。
ねえジェリーもそう思うでしょ?
つぶらな瞳で見上げてくれるジェリー。
仕方ないなあという顔でため息をつくジェリー。
ジェリー、なんでいないの?
いつものように言葉をかけているうちにたまらず位牌を抱きしめて涙をこぼす。1日のうち何度もジェリーを思い出し、目元を押さえてしまう。こんな毎日が続いた。
そして初七日を迎えた。この日は葬儀に来れなかった家族も含めて家族全員で動物霊園に行った。慰霊塔の前で家族そろってオヤツをお供えし、ろうそく、線香に火をつけた。ジェリーを偲びながら家族みんなで手を合わせた。それだけをして霊園の車で最寄り駅に送ってもらい、せっかくだからとお茶して帰った。
家に帰り、ジェリーただいま!と位牌に声をかけようとして私は固まってしまった。
なんてこと…
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