第5話 ジェリーが死んだ⑤

ジェリーを棺桶の段ボールに横たえ、その周囲をお気に入りのおもちゃと服、オヤツで囲み、その上にたくさんの花をのせた。ピンクの服が似合ったジェリー。可愛らしかったジェリーにぴったりの赤、ピンク系の花々をジェリーの旅立ちの花にした。


私はジェリーが介護状態になる前までしていた首輪を最後まで手元に残すかどうか迷った。首輪まで棺桶に入れたらジェリーの思い出がなくなる。逡巡した挙句、ジェリーと共に収めることにした。ジェリーのものは全てジェリーに持たせてやって虹の橋を渡らせてやりたい。

辛い日々を耐えてくれたジェリーにはこの世に未練なく楽しい天国にスッと行かせてやりたい。ジェリーが好きだった物、よく身につけていた物を全て収め、棺桶の段ボールのフタをしめた。


スマホのジェリーの写真から読経の時に棺桶の前に飾る遺影を作ってもらい、僧侶による読経が始まった。写真は持参するよう言われていたが、いつでも撮れると削除していて実際に残ってる写真は驚くほど少なかった。その中から元気な頃のジェリーの雰囲気を感じさせる写真を選び読経の際に使ってもらった。


読経は長い物ではなかったが、僧侶にちゃんと読経してもらえて嬉しかった。読経後、棺桶の段ボールを抱えて火葬場へ向かった。火葬場のスタッフからコースターのような紙を渡された。ペットは家族の匂いを嗅ぐと安心するので最後に、この紙で両腕や胸のあたりを擦り、匂いを移して棺桶に添えるのだと説明された。


以前にはなかった新しいサービス、でもステキなサービスと感心した。娘とそれぞれ紙に匂いを移し、棺桶に入れた。最後にジェリーに「ありがとう。」と涙ながらに言う。ジェリーは火葬場へ。


ジェリーの火葬が終わるまで隣の休憩室で待つことになった。

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