第6話 ジェリーが死んだ⑥

霊園は高台にある。なので休憩室は見晴らしが良かった。遠くに山並みが見え、下を見ると街並みが広がる。眺めは良いはずなのだが一通り眺めるとサッサと背を向けた。私は目を潤ませてぼんやりとジェリーのことばかり考えていた。


夜更かししていると早く一緒に寝ようと呼びに来てくれたジェリー。風邪をひいて寝込んだ時、追い返しても追い返しても枕元で私を見守るように寝てくれたジェリー。娘が辛いことがあって凹んでいるとどれだけしんどくても寄り添ってくれたジェリー。普段はクールで抱っこも嫌そうにしていたのに、家族のことを心から心配してくれたジェリー。もうジェリーには会えない。


こんなに心から尽くしてくれたのに何もしてやれなかった。保護犬で大人になってからやって来たジェリーと一緒に居られる時間はただでさえ短いとわかっていたのに、いつでも明日できるからと今大切にしてやらなかった。自分たちのことを優先にしてジェリーを後回しにしてしまった。後悔先に立たず。その通りである。


ただただ悔やんでいた。

娘が喉が渇いたと言うので私も一緒に自販機で飲み物を買うことにした。娘はコーラ、私はいつものようにミルクティーを買う。2人とも黙って飲み始めた。ふと手元のミルクティーを見た。涙で曇る目に飛び込んできたのはミルクティーのペットボトルのラベルだった。

私は思わず言葉に詰まった。

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