第4話 ジェリーが死んだ④
ジェリーがなくなる半年以上前、腎臓がやられて人間なら24時間点滴で、もういつ死んでもおかしくないと言われたことがあった。
ジェリーのいない生活なんて耐えられない!その時、私は泣きながらジェリーに言った。
「まだいかないで!」
その後、ジェリーは持ち直し、小康状態をしばらく保ってくれた。しかし病気は着実に進行し、腎疾患に心疾患、下痢も加わり、服薬に加えて毎日私から下手くそな点滴と食事を始めとする介護を受けることになった。
しんどそうに1日のほとんどを横たわり、うつらうつらするだけの日々。それでも娘が声をかけると目を開け、小さくともしっぽを振ってくれた。私がジェリーに行かないでと言った時から一年近くジェリーは小さな体で頑張ってくれた。しかも最後はとても苦しみ、見たことのないほどの形相になりながら。
あの時、何も言わなければジェリーは穏やかに安らかに天に召されることができていたのではないか。保護犬で人に大変な目にあわされ、人を憎んでいるはずなのに我が家に来てくれてからは、クールながらも家族に寄り添ってくれたジェリー。愚かな私はジェリーが死んで初めてその無償の愛情に気がついた。
愚かな私を許しておくれ。ただひたすらジェリーに謝り、そしてジェリーを今までもこれからも大好きだということを語りかけた。
しばらくして、霊園の人が読経の順番が来たと知らせに来た。
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