第3話 ジェリーが死んだ③
この動物霊園は実家と我が家のペット達がお世話になっている。久しぶりにホームページを見てみると、家までお迎えに来てくれるサービスができたとある。なんと便利なサービス!車のない我が家は早速電話で聞いてみた。
だが、みんな思うことは同じようで本日は予約でいっぱいと言われた。明日なら大丈夫らしいが、まだまだ暑さが残っている。家の保冷剤だけではジェリーの体が痛まないようにできるか心許ない。仕方なく電車で行くことにした。
棺桶代わりのキャリーはカートにつけて引いて行くことができる。初めはそうしょうと思っていたが、いざジェリーが入るととてもじゃないが荷物のように運ぶなんて気になれず、手で持って行くことにした。娘も大学を休むことにして一緒にジェリーを送ってくれるという。1人では受け止めきれない部分もあったので本当に嬉しかった。
空いていた電車内ではキャリーを私と娘の間に置き、ひたすらジェリーに話しかけた。
「電車に乗ってお医者さんに行ったね。しんどかったのによく我慢してくれたね。もうこれが最後だよ。」と。
霊園の最寄駅に到着。霊園からの迎えの車に乗せてもらう。久しぶりの景色に以前、この霊園に来た時のことを思い出す。いつ来ても切ない。キャリーを優しく撫でながら涙がこぼれないように必死に堪えているうちに霊園に到着。
受付を済ませると、読経の順番待ちの控え室に案内された。控え室でキャリーから棺桶に入れ替える。私は白い段ボールの棺桶を選び、棺桶の値段を下げた分、花を入れることにした。
キャリーで運んだタオルやジェリーのおもちゃ、服、首輪と花、霊園でもらった小さな数珠を棺桶に入れていると前の人が遅れているのでしばらく控え室で待つように言われた。その間、ジェリーを抱っこしていてよいと。私は順番が来るまで泣きながら小さな体を抱き上げた。
私にはジェリーに謝らなければならないことがあった。
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