第22話
コリンさんに情報を教えてもらった僕は、グランド王国の南通りに向かってみる事にした。
グランド城下町の町の中を歩いていき、南通りに辿り着く。南通りは、建物がちょっと変わっていて、四角い建物が立ち並んでいた。
お店も結構出展しているらしく、食材らしき物を売っている店や、壷だけを売っている店、使用用途が解らない物を売っている店もあった。
その中から、食材を売っている店を探していって、一軒の店の前に立ち止まる。
店頭におかれてあるのは、黒い物だった。
でもこれ……なんか見た事あるぞ?って感じなので、店員に
「あの……これ、何ですか?」
黒い物体を指差して、聞いてみると、店員が
「ああ、それは……新しく仕入れた物でな? ブラックビーンと言うんだ」
ブラックビーン……名前は知らなかったけど、これ、あれに似てないかな……と思い、店員に
「あの……これ、試食してもいいですかね?」
僕が聞いてみると、店員が快くOkしてくれた。店員の許可を取ったので、ブラックビーンを掬って食べてみる。食べた感じ、味はやっぱり!と思われる味だった。これは買いだな……と思い、店員に
「これはいくらですか?」
聞いてみると、店員が
「どのぐらい必要なんだ?」
そう聞いてきたので、ちょっと考えて
「じゃあ、大きい袋一個分だとどれくらいですかね?」
聞いてみると、店員がちょっと考えて
「そうだな……大体800ベニーかな? 買うのかい?」
「はい、買います」
そう言って、店員に800ベニーを渡した。ブラックビーンを袋の中に満タンに入れて貰って、袋を受け取る。重さ的に、ちょっと重かったけど、これならまだ運べそうなので、他の店に行く事にした。次に訪れた店は、白い液体を売っている店だった。この液体って……ミルクだよね? と思い、店員に
「これ、ミルクですよね? 何のミルクですか?」
店員に聞いてみると、店員が
「これはな? 珍しい家畜、モースキングから採れたミルクだな、味は格別だぜ?」
格別……という事は、かなり美味しいって事なのかな……うん、これも買いだも? と思い、店員に
「じゃあ、買います、いくらですか?」
値段を聞いてみると、量により値段が違うと店員が言うので、袋いっぱいじゃどのくらいですか? と聞いてみると、600ベニーだな? と言ったので、これも買う事にした。
商品を買い終わって、結果はブラックビーンとモースキングミルクの二品を手に入れた。
残り残金が、100ベニーしかないのでこれじゃあ他の商品は買えないかな? と思い、待ち合わせ場所に行く事に決めて、移動する事にした。移動していると
「あ、やっと見つけたわよ? エルフィー」
僕にそう言ったのは、アリサさんだった。
それにしても、見つけたって……僕の事、探してたのかな? この人
「あ、アリサさん」
「エルフィー、ギルドで依頼を受けたでしょ?」
「ええ、そうですけど」
「ちょっと、何で私に声をかけなかったのよ、私、貴方のパートナーよ? 一人で行ったら、心配するじゃない」
「いえ……アニーさんも一緒でしたので、正確には一人じゃなかったんですけど」
「そう……まあいいわ、ところで、こっちに戻ってきたんでしょ? また私と一緒に、活動しましょう?」
「いえ、すいませんが……待ち合わせがあるので」
「え……戻ってきたんじゃないの?」
「ええ、すいませんが……」
「……そ、そう……でも、また一緒に行動してくれるわよね?」
「……それはまだ解りません、では行きますので」
そう言って、僕は待ち合わせ場所に行く事にした。待ち合わせ場所に辿りつくと、既に何か買い込んだのか、荷物を背負っているアニーさんの姿があった。
「あ、エフィー、どうやら買い物は終わったみたいね?」
「はい、終わりました」
「ところで……貴方、何でいるの?」
勝手についてきたアリサさんに、アニーさんがそう言っていた。
「別にいいでしょ? 何か文句でも?」
「いや、別にないわね、じゃあ、戻りましょうか? エフィー」
「あ、はい」
「戻るって、あの店よね? ねえ、貴方、いい加減にエルフィーを返してくれないかしら?エルフィーは私と組んでいたのよ?記憶を失っているみたいだけど、いずれ思い出すんじゃない? だから、いつも一緒に行動していた私と一緒にいる事が一番良いと思うのよ」
「あ~うるさいわね、さ、こんなのはほっときましょう」
「ちょっと! ほっときましょうって、どういう事よ!」
アリサさんが騒いでいると、アニーさんがぶつぶつと何か呪文らしき言葉を言い、それが発動、地面に魔方陣が浮かび上がり、アニーさんが僕の手を掴んだ。
「さ、行くわよ」
そう言った瞬間、魔方陣が発動、そして……気がつくと、見慣れた場所にいた。
「今のって、転送魔法ですか?」
「ええ、前につかったでしょ? それを自分に使ってみたのよ、目標場所はここをイメージしてね」
どうやら……今の僕達のいる場所は、サーシャルランドのお菓子屋さん、「シュガーレスト」の店の前にいた。
「さ、エフィー、買った物を閉まっておきましょう」
そう言って、お店の中に入り、買った品物を、保存する事にした。
「ところで、エフィーは、何を買ったの?」
そんな事を聞いてきたので、僕は買った品物をアニーさんに見せる。
「これで、お菓子とか作れるかしらね?」
「大丈夫です、この材料なら作れます」
「そう? じゃあ、作ってみましょうか?」
「はい、あ、僕も手伝っていいですか?」
「ええ、いいわよ? 私の買ったものとも混ぜ合わせれば、いいのが出来るかもね?」
そう言って、僕達は買った品物で、お菓子を作る事にしたのでした。
その頃
「逃げられた……でも私、諦めないわよ? 待っててね? エルフィー」
そんな事をアリサは、決意したとかしないとかだった。
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