第21話

次の日になって、僕は重みを感じて、目が覚めた。一体何なんだろ……と思い、目を開けて見ると……僕が寝ていた所に、寝相が悪いのか、アニーさんが僕に抱きついていた。

これって、男だったら、最高のシュチュエーションなのかな……と思ったが、今の僕は、アニーさんと同じ、女同士……ま、まあ……凄いいい匂いがするから、このままでもいいかな……?もうちょっと、この柔らかい感触を味わうかな……とか、ちょっとだけ考えてしまった。いや、別に疚しい気持ちなんて無いんだけど……でも、触った感じは何と言うか……結構柔らかった。そんな事を思っていると、目が覚めたのか、アニーさんが起き出した。


「あ……おはよう……」


「お、おはようございます」


「ところで……何で私に抱きついてるの? エフィー?」


「あの……僕から抱きついた訳では無いんですけど……? 抱きついてきたのは、アニーさんからですよ?」


そう言うと、アニーさんが辺りを見渡してから


「あ、ほんとだわ、ごめんなさいね? エフィー」


「いえ……アニーさん、寝相が凄く悪いんですね」


「え、ええ……もしかして迷惑だった?」


「いえ、そんな事はないですけど」


むしろ役得だった。こんな感じなら、いくらでも!って感じだけど……この事は、胸の内に秘めておく事にした。


「ならいいわね、じゃあとりあえず、朝みたいだし、朝食でも取りましょうか」


「はい」


僕とアニーさんは、グランド王国の宿屋に泊まっていたので、その宿屋の朝食を取る事にした。朝食のメニューは、スープにパンで、サーシャルランドの料理と比べると、とても美味いとは思えなかった。でもせっかく出してくれたんだし……文句は言えないよね……

食べてみて解った事は、こんな料理だったら、自分で作った方がまだましかな?って感じの味だった。朝食を食べ終わった後、宿屋をチェックアウトして、外に出る。

外に出ると、アニーさんが


「エフィー、どうせなら、食材とお菓子の材料を買い込みましょうか?」


「材料をですか?」


「ええ、1500ベニーを渡すから、それで二手に別れて、食材を買いましょう、じゃあ、はい、1500ベニーね」


そう言って僕に、1500ベニーを渡してきた。


「じゃあ、買い終わったら、門番の前で待ち合わせにしましょう、じゃあ、私はこっちにいくわ」


アニーさんは、僕と離れて行き、姿が見えなくなってしまった。


「食材かあ……何所に行けば買えるんだろ? とりあえず……色々と見て回るかな」


そう決めて、僕は移動を始める事にした。

グランド王国は、お城があって、そのお城を中心に城下町が広がっているみたいで、中央広場、南通り、西通り、裏街道、東通り、北通りに別れているみたいだった。冬日となっているので、地面には少しばか雪が積もっている所もあったりした。まず何所から向かおうか……と迷い、中央広場に行ってみる事にした。

中央広場に辿り着くと、人がそんなにいなく、出店も全くなかった。とりあえず通行人に話を聞いてみると、何でも今の時期は、商人達はサーシャルランドに行ってしまっていて、夏日の間だけ、ここで営業をしていると言う情報を得る事が出来た。教えてくれた人にお礼を言うと、その人が「暇だったら、一緒に食事でもどうかな?」とか、誘ってきたので、丁寧にお断りを入れて、その場から離れる。

今のって……ナンパかな……? う、うん、気にしないでおこう……何所に行こうと迷いながら、とりあえず……東通りに行ってみる事にした。

東通りは、西洋風の建物が立ち並んでいて、武器屋や宿屋、食事所とかを発見

しかし、食材を売っている店がなく、東通りに冒険者ギルドがあるので、その中にいる、受付のコリンさんに聞いてみる事にした。

冒険者ギルドに入ると、今の時間帯は、そんなに人がいなくて、コリンさんも忙しそうではなかった。

早速僕は、コリンさんに話しかける事にした。


「おはようございます」


「あ、おはようございます、えっと……エルフィーさんでしたよね? 今日はどうしましたか? 依頼ですか?」


「いや、依頼じゃなくて……この国で、食材を売っている店を知りたいんですけど、コリンさん、知っています?」


「食材ですか……夏日でしたら、中央広場で出店が開いているので、そこで売っていますけど、冬日の今の時期ではそうですね、南通りにあるお店で、食材を売っていますよ」


「南通りですね? ありがとうございます、あ、あのところで……」


「はい? 何ですか?」


「昨日の依頼にあった魔導書「魅惑の庭園」なんですけど、あれは一体何なんですか?」


「そうですね……依頼者が言うにはですね? あの魔術書「魅惑の庭園」は、違う大陸から運ばれてきた物らしいです、そこではあの本に書かれていた文字が、日常的に使われているそうですよ? 私も詳しくは知らないんですけど」


「そうですか、あ、店の場所、教えてくれてありがとうございます」


「いえ、ではまた依頼を受けようと思いましたら、私に話しかけて下さいね」


「あ、はい」


もう用も無いので、冒険者ギルドを出る事にした。あの文字が日常的に使われていた大陸ね……もしかして、その大陸って、僕と同じような目にあった奴がいて、そいつがその大陸にいるって事なのかな?でも、その大陸の名前や、行き方が全然解らないんだよなあ……

ま、とりあえず……今は、食材集めとする事にする事にして、そう決めたので、僕は、コリンさんに教えて貰った、南通りの方へ、行ってみる事にしたのであった。


その頃


「コリン」


「あ、アリサ、どうしたの? もしかして依頼?」


「いや、そうじゃなくて……エルフィー来なかった?」


「さっき、来たわよ?」


「ほんと? よかった……無事だったのね、で、エルフィーは何所に?」


「なんか、食材を探してる風だったわよ? だから、南通りを教えてあげたんだけど」


「そう、南通りね? ありがとう、コリン」


「あ、依頼はいいの?……って、もういないわね……まあいいわ、あ、依頼ですか? では、こちらになります」

アリサがいなくなった後、コリンは、通常業務へと戻っていたのだった。

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