第18話

僕がシュガーレストの店員として働いて一週間以上経過しました。この仕事も大分慣れたって感じです。

そんなある日、いつのように店番をしていると、店長のアニーさんが


「エフィー、今日は出かけるわよ?」

僕にそう言ってきた。


「出かけるって、今日は、店を閉めてですか?」


「ええ、久しぶりに冒険者家業をしたくなってね? なんか気になる依頼があったら、引き受けようと思ったのよ、エフィーも一緒に行きましょう」


「それは、構わないですけど……じゃあ、支度しますね」


そう言って、自分の部屋に行き、着ている服を脱いで、戦闘用の服に着替える。そして剣を持って行く事に決めて、装備する。

準備が終わった後、カウンターの方に行くと、いつもと違う服装のアニーさんがいた。

アニーさんの服装は、魔法使い風の格好で、杖がとてもよく似合っていた。


「うん、準備OKみたいね? じゃあ、早速出かけましょう?」


「はい、じゃあ、お店の看板に閉店にしておきますね」


「ええ、頼むわ」

そう言って、外に出て、お店をしっかりと施錠し、看板に「閉店しました」にした。


「はい、これでOkです」


「じゃあ、行くわよ」

こうして、僕とアニーさんは、何の依頼を受けるか解らないけど、冒険する事になったのでした。僕とアニーさんは、依頼を受ける事になったので、アニーさんが言うには「やっぱり、依頼を受けるなら、隣の国のグランド王国が最適よね?」とか言っていたので、急遽、サーシャルランドを出る事になった。門番に挨拶してから、シュミッツ平原をグランド王国方面に向かって、歩いていく。途中、魔物が現れた。

現れた魔物は、スラームと言う魔物で、その魔物が五体も現れて、僕達に襲い掛かってきた。


「エフィー、この魔物なら、剣で倒せるわ、やっつけちゃいなさい!」


「解りました!」

僕は、そう言って、エミューの剣を引き抜き、魔物を切り裂いていく。前にも倒した事のある魔物なので、どのように動いて攻撃してくるのか、解っていたので、魔物の攻撃を回避しながら、剣で切り裂いていく。魔物は、あっさりと切れて、叫び声をあげながら消滅、落としたアイテムは何もなかった。僕が三体のスラームを退治して、残り二体は、アニーさんの魔法、火の魔法で、消滅させていた。


「うん、これ以上は現れないみたいだから、また襲われる前に、とっとと行きましょう」


「はい」

そう言って、僕とアニーさんは、グランド王国に向かう事にした。数時間後、目的地、グランド王国に辿り着く。冬日となっているせいか、サーシャルランドとは違い、温度差が違っていて、ちょっと寒く感じたりもした。

グランド王国の中に入り、グランド城下町と呼ばれる町並みを歩いていき、目的地、冒険者ギルドに辿り着いた。

中に入ると、数人の男女がいて、依頼を受けているみたいだった。

その受付嬢の確か……コリンさんとか言う人に、アニーさんが話しかける。


「お久しぶり、コリン」


「あ、アニス、お久しぶり、今日はどうしたの?」


「いや~たまには、冒険を引き受けようと思ってね? 何かいい依頼、ない?」


「そうね……ちょっと待ってて」

そう言って、コリンさんは奥の部屋に移動して、数分後、資料を持ってきた。


「今の所、出している依頼はこんな所ね?」

出されている依頼を見てみると

エルサレムドラゴンの討伐 報酬2000ベニー

美人花の採取、1000ベニー

ロッククリスタル採取 4000ベニー

魔導書「魅惑の庭園」の発掘&調査 3000ベニーとなっていた。


「エフィー、この中だとすると……どれにする?」

そう言われて、僕は考える。エルサレムドラゴン……一体どんなドラゴンなのか不明だし、もし強かったら、殺される可能性大だと思う。名前が書かれてあると言う事は、ドラゴンタイプの怪物って実際にいるって事だよね……? うん、絶対に強いと思う……他の依頼は……美人花……何の花か全く不明だし、ロッククリスタルの採取……と言う事は、鉱山跡地か、鉱山に行って発掘作業をやる事になりそうだし、魔導書「魅惑の庭園」……どうも禁術書っぽい名前で、危ない気がした。


「アニーさんは、どれがやりたいと思ってるんですか?」


「ん~……そうね……一番高額なのはロッククリスタルの発掘だけど……これ、個数が不明なのよね? もしいっぱい持ち運ぶ事になったら、持てそうもないし……ドラゴン退治……このドラゴンは、見た事ないから不明ね……やっぱり、魔術師の格好をしている私としては、この魔導書「魅惑の庭園」の発掘&調査が気になるわ、だからこれにするけど……エフィーは、いいわよね?」


「アニーさんが、そう言うのでしたら、僕は構わないですよ?」


「なら、決まりね? コリン、私達は魔導書「魅惑の庭園」の調査にするわ、詳しく詳細を教えて?」


「解ったわ、じゃあこの魔導書「魅惑の庭園」の依頼だけど、依頼主は、このグランド王国で教師をしている人よ?彼が言うには、この魔導書の書かれた文献が発見されて、それを解読してみたら、シュミッツ平原の東にある山の中にある神殿の奥深くにその魔導書を残したらしいわ、その魔導書の名前が「魅惑の庭園」って呼ばれてるらしく、でね? これの恐ろしいのは、依頼を受けた物が誰一人帰って来ないのよ? その神殿の中にトラップ満載なのかも知れないわね?」


「あの……じゃあ、ちなみにこの依頼を受けた人って、何人いるんですか?」


「今の所、貴方達で五人目ね? この依頼、最初は1000ベニーだったんだけど、今はこの値段に跳ね上がったのよ、どう? これを聞いて依頼受ける?」


それって、かなり危険じゃないのか? と思ったので、アニーさんを見てみると、目を輝かせて


「っふ、面白いじゃない、俄然やる気が出てきたわ」

どうやら、行く気満々だった。


「じゃあ、依頼を引き受けるのね?」


「ええ、じゃあ行くわよ、エフィー」


「あ、はい」

「無事に帰ってくるのよ~」

そう言われても、無事に帰れるかどうか不安だったのでした。

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