第17話

僕が、このサーシャルランドに来て、一週間以上が経過してしまいました。

まあ、この体にもすっかりと馴染んでしまい、女物の服を着ても、ま、いっか……って感じになってしまっていた。うん、これはちょっと不味いのではないのかな……? でも、男に戻る方法=元の世界に戻る方法も解らないし……とりあえず、このまま過ごして行くしかないんだよね……あと、僕がお店、「シュガーレスト」で働いていて、変わった事と言えば、僕にあだ名が出来てしまっていた。

事の始まりは、いつも買いに来るロクス君で、ロクス君が、僕に向かって「お姉さんって言うのもありだけど……別の呼び方にしてもいいかな?」と言って来たのである。

そんなロクス君に対して、僕は


「あだ名ですか……まあ、構いませんよ」

と、OKした所、ロクス君が「じゃあ、エルフィーさんだから、エフィーっていい?」と、無邪気に言っていたのを、アニスさんが「あら、いいわね?それ、じゃあ私、これからエルフィーの事をエフィーと呼ぶ事にするわ、エフィー、私の事は、アニーでいいわよ」と、アニスさんがそう言っていたので、それを聞いたからか、他のお客様にも「エフィーさん、これ、おねが~い」と言われたりする事になりました。うん、ま、いいけどね……そしてもう一つ変わった事、それは……僕が、カウンターで店番をしていると、決まった時間になるとやってくる人物がいた。

それは、「エフィー、今日も来たよ?」とか言いながらお店にやってくる男の人、前に僕に、告白と言うか求婚してきた、冒険者のリグルさんだった。そんなやって来たリグルに対して、僕は


「いらっしゃいませ、何が必要ですか? 必要ないなら、お店の迷惑になりそうなので、お帰り下さいませ」

と、無表情に言うと、リグルが


「来たばっかりそれは酷い……とりあえず、今日はこれね?」

と言って、数点のお菓子を選んで買っていき、僕は袋に入れた後、代金を受け取り、毎回同じ台詞を言っていた。


「ありがとうございました、では、お帰りください」


「仕事が終わったら、一緒に町のお散歩とかも駄目?」


「お帰り下さい」

僕がそう言うと、リグルが「今日も駄目か……でも、俺、あきらめないから!!」とか言って、お店を出て行き、このやりとりが習慣になってしまったからか、町の噂で「エフィーさんは、いつ落ちるのかな?」とか「さあ~?ま、あいつも懲りないわね~」とか、町の商人の女性達が、そう噂していた。う、なんか……すっかり名物になってしまってないかな……今の状況……僕、本当に元の世界=元の体に戻れるのかな……ま、望み薄っぽいけど……

だって未だに僕は、男の人と付き合うのは、考えられないしな。

リグルもさっさと諦めてくれればいいのだけど……なんか、諦めてくれそうな感じはしなかった。

このまま僕の意識も女性よりになって好きになったりするのかな?

まあ、とりあえずその事は気にしない事にしとこうと思うのでした。

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