第14話
サーシャルランドの街中を移動する事になった僕とアニスさんは、早速何所に向かうか話し合う事にした。
「エルフィー、何所に向かおうかしら?」
「そうですね……ちなみにアニスさんは、行きたい場所ってあるんですか?」
「そうねえ……とりあえず見て回りましょうか? 欲しいものがあれば、購入って感じにしましょ?」
「はい、解りました」
結局、ノープランで街中を歩く事に決まったみたいだった。ちなみに街中を歩いていると、やたらと人の視線を感じる。まあ……視線を感じる理由が解る気もする。だって……今の僕とアニスさんの姿ってエプロンドレスにお店の制服を着てるから、元いた僕の世界だったとすると、メイドさん? みたいな感じの服装だったから、特に男の人の視線を感じた。まあ、僕もアニスさんも見た目は、美少女に見えるしね?僕が栗色の髪をしていて、アリサ店長が銀髪なので、余計目立っている感じかも……? とか、そう思っていると
「二人とも、かわいいね~よかったら俺と一緒に遊ぼうぜ~」
と、剣士風スタイルの無駄にイケメンな男が、僕達に話しかけてきた。
「……エルフィーこいつの顔、好み?」
そう言われて、声をかけて来た男の人を観察してみる。鍛えているのか、強そうな雰囲気だったけど、うん……なんかチャラそうに見えたし、今の所、男なんかに好かれたくなかったので
「いえ、全くと言っていいほど好みではないですね」
「そう、まあ私も好みじゃないわ」
そう二人で話していると、男が
「あれ~軽く無視? 酷いんじゃない?」
とか言ってきた。うわ……こう言うのをチャラ男と言うんだろうか? はっきり言って、迷惑だった。
「煩いわね……消えて頂戴」
そうアニスさんが言い、呪文を発動、僕達に話しかけて来た男がいきなり消滅した。今のは、もしかして……前にアリサさんに使った、強制転送呪文?
「アニスさん? 今の術って……前に使った術ですか?」
「ええ、転送呪文よ? 行き先はそうね……なるべく遠くに飛ばした感じだから、そう簡単にこの国に戻っては来れないわね……全く、あ~あ、無駄な呪文を使ってしまったわ」
何というか……あの男、ご愁傷様……って感じだった。とりあえず気を取り直して、二人で出店を見て回る事にした。僕達二人組が珍しいからか、出店を開いている店員さんが、やたら品物を売りこんでくる。しかも決まり文句に「お嬢ちゃん達、可愛いね~サービスしとくよ?」とか言ってきた。
そんな声に、アニスさんが「じゃあ、きっちりとサービスして貰うわよ!」と言い品物を定価の半額の値段で、交渉して、見事勝ち取っていた。ちなみに買った品物はと言うと、果物にバター? が入った瓶製品だった。
買った後、アニスさんが
「ふ~、いい買い物したわね……エルフィー? 他に見て回りたい所ってあるかしら?」
そう言って来たので、僕はと言うと
「いえ……男の視線をやたらと感じるので、そろそろ戻りたいのですが?」
「そうね……確かに、隙を見せれば声をかけて来そうだしね? じゃあ、戻りましょうか?」
「はい、解りました」
こうして、買い物を済ませて、僕とアニスさんは、シュガーレストに戻り、夕食の準備をする事にした。
「エルフィー、手伝ってくれる?」
「はい、ところで……何をすればいいですか?」
「じゃあ、ミカンサワーを切って、お皿の上に盛り付けてね?」
「はい」
そう言って、買って来た品物、ミカンサワーを切る事にした。このミカンサワーと言う果物、見た目が僕の世界にあった果物、みかんそっくりで、味もみかんと同じなんだろうか?そう思いながら、ミカンサワーを切っていき、お皿の上に盛り付ける。数分後、調理が完了したのか、アニスさんもテーブルの上に、料理を置いてきた。
「じゃあ、戴きましょう?」
「はい」
「頂きます」
「頂きます」
そう言って、アニスさんと一緒に夕食をとる。夕食は、肉料理で、確か……モースの肉? だった気がする。
とりあえず思うのは、白いご飯が欲しいと思ってしまう事だった。味に関しては、調味料が効いてるのか、結構美味しく、 ミカンサワーも、みかんの味に、結構似ている味だった。あっという間に食べ終わって、片づけを手伝い、終わった後、自分の部屋に戻り、体を休める事にした。
「うん……この世界に来て、結構日にちたつけど……慣れていくって感じかな? 元の世界に戻る方法も全く解らないし……けど、今の生活もちょっと楽しくなってきたし、問題は無いかな? ま、明日も頑張ろうっと」
そう呟いてから、眠くなったので、寝る事にしたのでした。
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