第13話
次の日になって、日の出とともに僕は起きた。窓の外を見てみると、「ギャース」とか鳴く鳥「ベルバード」が数羽飛んでいた。うん……見た目が目が三つあるので、全く鳥らしく見えない。はっきり言って、怪獣? か魔物に見えるんだけど……アニスさんが言うには、あの鳥みたいな生物って、食用らしいし……あの生物……本当においしいのかな? とか、ちょっとそんな事を考えてしまった。まあ、そんな考えをやめて、窓から離れて、鏡で自分の姿を見てみる事にした。
鏡に映りこんだのは、エルフィーと言う女性の姿で、見た目は美少女に見えていて、胸も少量ながら膨らんでいる。うん、自分で言うのもなんだけど……結構可愛いんじゃないかな?って感じ、見た目が美少女だし、多分と言うか……男の人に惚れられる可能性だって、無いとは言い切れないかも知れない。
今の僕の状態で、男の人と付き合う……? そんな想像をしてみたけど、はっきり言うと、今はそんな気持ちになりそうでは無かった。まあ、この姿で過ごしていると、気持ちもいつかは変わるかも知れないけど……そんな事を考えながら、改めて自分の胸を見てみる。サイズ的に小さいと思うけど、さすがに自分で触るのも何なので、触るのはやめて、今着ている服を脱いで、お店の衣装を着て、白いエプロンを装着する事にした。装着が終わった後、部屋を出て、一階に降りると、白銀の女性が、僕に声をかけて来た。
「おはよう、エルフィー、目覚めはばっちりかしら?」
そう言って来たのは、この家の持ち主で、お店「シュガーレスト」の店長さんのアニス・レストさんだった。
「アニスさん、おはようございます、まあ、よく眠れたほうですかね」
「それはよかった、さ、朝食にしましょ?」
「あ、はい」
そう言って、椅子とテーブルが置いてある部屋の中に入り、アニスさんが厨房に入って、僕も手伝った方がいいのかな? と思い、アニスさんに
「僕も手伝った方がいいですか?」
そう聞いてみると
「いいわよ、もう出来たしね? はい」
アニスさんが朝食を持ってきた。
中身は、茶色のスープで、なんか……ビーフシチュー?っぽく見える。
でも、この異世界にビーフシチューというのがあるのか? が疑問なので
「これって、ビーフシチューですか?」
そんな事を聞いてみると
「これは、ラビットソンのスープよ? まあ、美味しいから食べてみて?」
ラビットソン……全く聞いた事がなかった。と言うかラビットと言うから、ウサギの肉スープなのだろうか? まあ、気にしても仕方がないので、スープを食べてみる。味に関しては、コクがあって、肉も美味しく、結構いけた。
「あ、美味しい」
「でしょ? さあ、これ食べたらお店を開くわよ?」
「あ、はい」
ラビットソンのスープを残す事無く食べ終わり、商品が置かれてある、店内の方に向かった。後から、アニスさんがやって来て
「エルフィー、店を開いてくれない?」
と言ったので
「はい、分かりました」
そう言って、店の外に行き、開店の準備をして、店を開いた。お店を開いた後、アニスさんが「今日は私もカウンターにいるから、エルフィーは商品の補充と、掃除をお願いね?」と言ってきたので、僕はそれに従う事にした。
商品を補充しながら、店を掃除していると、お客がやって来たので「いらっしゃいませ」と言って、やって来たお客様も出迎える。お客は、茶髪の女の子で、まだ幼く見える。
「これ、いくら」
子供独特の声で、お菓子を指差し、僕は
「これは、30ベニーになります」
と言うと
「じゃあ、これで」
アニスさんにベニー硬貨を三枚ほど渡した。
「ありがとうございます、あ、これはサービスよ?」
と言って、アニスさんが袋の中におまけのお菓子を入れると、女の子が
「ありがとう、お姉さん!」
そんな笑顔で店を出る。
うん、なんかなごむなあ……、結構可愛い子だったので、将来美人になるんじゃないか? あの子……そう思っていると
「エルフィー、来たわよ?」
やって来たのは、アリサさんだった。
アリサさんが来たら、アニス店長が嫌そうな顔をして
「一体何の用?」
「エルフィーに会いに来たのよ、何か文句でも? あ、これ、昨日の依頼の代金よ?」
そう言って、僕にベニーを渡してきた。
「えっと、いいんですか?」
「いいわよ、二人で依頼を受けたんだし、ところで……あの荷物一体何だったのかしら……エルフィー、解った?」
「さあ……アニスさんが教えてくれませんでしたから」
「そう……それにしても……」
「何ですか?」
「その格好似合ってるわね? 戦士風の格好もいいけど、そっちも似合ってるわ」
「あ、ありがとうございます」
「はいはい、もう用はないわよね? じゃあ、とっととお帰り下さい」
「相変わらずむかつくわね……エルフィー、また来るわね?」
そう言って、アリサさんは、店から離れて行った。
「もう来なくてもいいわよ、エルフィーも相手にするの疲れるでしょ?」
「いえ、そんな事は……」
「そう? そろそろお昼ね……よし、店を休みにして、出かけましょう?」
「え、いいんですか?」
「私が許可します、じゃあ店を閉めてね?」
アニスさんがそう言ったので、店を閉めた。
「外に出るけど、その格好で行く? まあ、その方が宣伝になっていいかもしれないし」
そう言われてどうしようかと迷ったが、いちいち着替えるのも面倒なので
「じゃあ、この格好で行きます」
「そう、じゃあ出かけましょうか」
こうして二人で、サーシャルランドの町の中を、移動する事にしたのでした。
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