第11話

サーシャルランドを出て、シュミッツ平原に出た。


「ここらへんは、魔物もそんなに強くないから、楽勝でいけるわ」


そう言いながら、シュミッツ平原を歩いていると、スライム状の魔物が現れた。


「これが魔物ですよね?」


僕がそう聞くと、アリサさんが


「ええ、この付近に生息してる魔物、スラームよ、火が弱点で、結構弱い魔物で、剣でも倒せるから、エルフィー、その剣でやっつけてくれない?」


「わ、解りました」

僕は、エミューの剣を構えて、スラームと対峙する。スラームの特徴は、何と言うか……ゲームに出てきそうな雑魚魔物そっくりだった。じゃあ、その雑魚魔物と同じく、強さも弱いんじゃないだろ~か? と思ったので僕は、剣で一刀両断する。

するとあっけなく、真っ二つに切れて、魔物が消滅、その場に何も残らなかった。


「ドロップアイテムは無しか……じゃあ、先を行きましょう」


アリサさんがそう言うので、僕は剣をしまい、再び歩き出す事にした。うん、やっぱさっきのスライム、ゲームに出てくる魔物、そっくりだったな……そんな事を考えながら、歩き続けていると、お城が見え始めた。

見た目は、中世のお城で、その周りに家や建物が沢山あり、あれが城下町なんだと思われる。


「さ、着いたわ、あれがグランド王国よ?」


「グランド王国……」


「私達、いっつもグランド王国にいたんだけど…………やっぱり思い出せない?」


「はい、すいませんが」


「そう、まあいいわ、じゃあとりあえず、冒険者ギルドに行きましょう」


「冒険者ギルド?」


「私達みたいな冒険者を管理して、依頼を発行してる部署よ、そこで依頼を受けて、成功したら成功報酬が貰えるって訳、さ、国の中に入りましょう」


「あ、はい」

冒険者ギルドか……一体どんな場所なんだ? と、ちょっとワクワクしてしまった。グランド城下町に入る前に、門番らしき二人が、アリサさんの知り合いらしく「おや、アリサ、戻ってきたのか?」と気さくに話しかけていた。アリサさんも「ええ、仲間が見つかったから、戻ってきたの」とか言っているし、仲間って、僕の事だよな……と思っていると、門番の一人が

「お、エルフィーじゃないか、そうか、無事だったんだな、アリサに心配かけるなよ?」とか言ってきた。

どうやら、この体の持ち主、エルフィーとも知りあいみたいな感じだった。

とりあえず僕は


「はあ、どうも……」

と言うと、門番の一人が


「なんか、エルフィー……性格変わったか?」


「ああ、確かに、いつもはこんなお淑やかじゃなかったし、元気娘って感じだったしな?」


「そうなのよ、なんか……エルフィーの性格が変わっててね? 私も驚いてるのよ……」


「そうか……ま、無事に見つかったんだ、そこは喜ぶ事じゃないか?」


「そうよね、さすが、バンズ、いい事言うわね」


「そうでもねえよ、じゃ、二人とも国の中に入るんだろ? 許可してやるぜ」


「さんきゅ~、じゃあ、エルフィー?、中に入りましょう」


「あ、はい」

アリサさんが、そう言ったので、僕はそれに従って、グランド王国の中に入る事にした。

中は、中世ヨーロッパ風の建物が、立ち並んでいて、道路がレンガで舗装されていた。

中央に噴水があり、その周りに、出店が多く出展し、東西南北に道が枝分かれしていた。


「冒険者ギルドがあるのは、南通りの先にあるから、こっちよ」

アリサさんが、そう言って、僕はその後について行く事にした。

歩きながら、町の人々を見てみると、結構沢山の人が歩いていて、魔法使いの格好をした人やシスターさんやら、思いっきり獣人?って感じの人が歩いていた。

さすが城下町、結構にぎわってるんだなあ……そう思いながら、アリサさんの後をついて行くと、一軒の建物の前に、辿り着いた。

その建物は、四階建てで、他の家とは違い、他の家はオレンジ色の屋根なのに、この建物だけ、黒色の屋根で、看板に剣と杖を、クロスさせて、その中に人に盾を象った物だった。


「ここが、冒険者ギルドよ? さ、中に入りましょう」

「あ、はい」

そう言われて、中に入ると、色々な人がいて、にぎわっていた。カウンターにいる女性を見てみて、驚いたのが、まず胸のでかさだった。

スイカかメロンぐらいあるんじゃないか? と思われるそのボリュームのある胸をゆさゆさと揺らして、仕事をしている。おまけに金髪で、かなりの美人さんだった。

その光景を見ている男達が、にやけ顔になってるのを発見した。

男はしょうもないな……ま、あの胸じゃ、そうなるのも納得か……僕がもし男のままだったら、あの男達みたいに、あの胸に釘付けになるのかな? まあ、凄い見た目だしね……?

そう考えていると、アリサさんが


「コリン、仕事ある?」

と言い、どうやら従業員の名前は、コリンと言うらしく、コリンさんが


「仕事ね……、あ、丁度一軒の依頼あるわよ、それ受ける? 危険度はそんなにないし、賃金もそこそこだけど?」


「なら、それを受けるわ、で、何の仕事?」


「依頼者の所に行って、品物を受け取って、それを届ける仕事ね? まあ、運送ね。どう……やる?」


「……やるわ」


「じゃあ、決まりね? メンバーは……あら、エルフィーじゃない、じゃあ見つかったのね?」


「ええ」


「じゃあ、貴方とエルフィーの二人ね? じゃあ、はい、これ、依頼者がいる住所だから、そこに行ってね?」


「解ったわ、じゃあ行きましょう? エルフィー」


「行くって、この依頼者の所ですか?」


「ええ、依頼受けたからね、これも仕事だし、さあ、行くわよ」

アリサさんが、そう言うので、僕は黙ってついて行く事にした。

それにしても、運送ね……一体何なんだろ? とか、そう思っていたのであった。

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