第5話

次の日になって、目覚めると、やっぱりと言うか……男に戻ってはいなくてシュガーレストの二階の一室だった。

ベットから降りて、窓を開けてみると、さわやかな風が吹き付けていて、見たことのないというか、紫色の小鳥は「ギャース」とか鳴いている。

いや……ギャースって、おかしいでしょ……何なの? あの鳥?

と言うか……あれ、鳥なのか? どうみても、目が三個に見えるんだけど?

そんな化け物みたいな鳥が、数羽飛んでいるのを確認した後、窓を閉めて

部屋を出る事にした。

部屋を出てから、一回に下りると、店長のアニスさんが


「おはよう、よく眠れた?」


そう言って来たので


「まあ、とりあえずは……」


「そう、朝はたまに、ベルバードの泣き声が五月蝿いけどね」


「ベルバードって、さっき見かけた、紫色で小鳥っぽい生物の事ですか?」


「ええ、そうよ? あのベルバードはね? 見た目は化け物見たいな姿をしているけど、食用で結構美味よ?」


……食用……見た目が無茶苦茶悪いんだが、美味しいんだ……あれ……

そう考えていると


「じゃあ、朝食にしましょうか? こっちに来て」


そう言われたので、アニス店長に、ついて行く事にした。

店の外に出て、数分歩いた後、一軒のお店に辿り着く。

お店の名前が「サーシャ・バイキング」と言うらしく、レストラン? 見たいな感じの、お店だった。


「おはよう~」


そう言うと、かなりのご年配の男性が


「いらっしゃいませ、おや、アニス嬢、久しぶりじゃないか? この店に来るの」


「まあ、たまにはね~朝食セット、二人前、頼むわ」


「了解、おや……そちらは?」


「私のお店で、新しく入った従業員よ?」


「あ、エルフィーと言います」


「そうか、私はここの店主の、クラーク・ドルチェと言う者だ、クラークでもいいし、おやっさんでいいぞ? えっと、朝食セット二つだったかな、ちょっと待っていろ」


そう言って、クラークさんは、奥の部屋へと行った。


「久しぶりと言う事は、店長はこの店、よく来るんですか?」


「ん~まあね、けど毎日ってわけじゃあないわよ、たまに、来る程度ね」


そう話していると、朝食セットらしき物を持ってきたクラークさんが


「お待たせ、朝食セット二つだ」


クラークさんが持ってきた朝食セットをテーブルの上に置く。

朝食セットを見てみると、パンにコーヒーらしき飲み物、あと何かの卵だった。


「じゃあ、頂きましょうか?」


「あ、はい」


そう言われたので、とりあえずパンを食べてから、卵を飲み込む。

これ、鶏の卵とは違った感じがしたけど、味に関しては結構いける感じがした。

あっという間に食べ終わると、クラークさんが


「あ、そうだ、アニス、依頼が入ってるけど、引き受けるかい?」


「依頼? 一体、どんなのかしら?」


「何でも、西の洞窟に住む魔物、レザーウルフを退治して欲しいって依頼だな、報酬は2000ベニー、どうだい、引き受けるかい?」


一体、何の話をしてるんだ……この二人……


「えらく高額ね、何かあるの?」


「何でも、そのレザーウルフを倒すと、紫結晶が現れるらしい、それを数個、集めて欲しいんだそうだ、どうだい? やるのかい?」


「……引き受けたわ」


「解った、じゃあ決まりだな。紫水晶を少なくとも三つ以上ゲットしたら、再び来てくれ、あ、今回の朝食代は結構だぞ」


「解ったわ」


話が一段落ついたらしく、店を出てから、僕は、店長に聞いてみる事にした。


「あの、さっきのは?」


「ああ、そう言えば言ってなかったわね、実はね? お菓子屋さんを兼任して、冒険者でもあるのよ、私、でね? あの店で依頼を受けて、引き受けたら依頼を完了させてるって訳、で、依頼を引き受けちゃったから、今日の店はお休みにして、早速西の洞窟に向かうのだけど……エルフィーはどうする? お店で待っている?」


そう言って来たので、僕は考える。

アニスさんが冒険者……じゃあ、一人でお店で待っているのも、何か嫌だし……これは、一緒に行った方がいいかも? と思ったので


「いや、一緒についていきます」


「でも、いいの?」


「はい」


「解った、じゃあ支度をして、一緒に行きましょう」


こうして、一緒に冒険に出かける事になった。

何故、一緒に行く事にしたのかと言うと、せっかく異世界に来たので、色々な所に冒険してみたくなったからである。もしかしたら、魔法とか覚える可能性だって、あるかもだしね?まあ、僕……今の所、一本の剣しか持ってないけど……あと、魔力?っぽいのがあるのかさえ、解らないけどね……

一度お店に戻り、アニス店長が「これに着替えて、はい、あと武器ね?」と言われたので、渡された服に着替えて、着替えが終わり、今の僕の格好は

冒険者が着そうな旅人の服に、腰にロングソードが一本だった。

アニス店長は、魔法使いみたいな厚手のローブ姿に、杖と剣を両方装備していた。


「準備完了よ、じゃあ、早速西の洞窟に向かうわ、エルフィー、危険だと思ったら、自分の命を守る事を考えてね?」


「あ、はい!」


こうして、初めての冒険に出かける事になったのでした。

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