第4話

次の日になって、快適な眠りでは無かったけど、僕は起きる事にした。

と言っても、これが全部夢で、男の姿に戻っていて、普通に男として、生活をしていくだろうとちょっとは期待していたのだけれど……目覚めて、辺りを見渡すと、そこはやっぱり泊った、サーシャルランドの宿「サーシャルーン」のBランクの客室で、鏡で自分の姿を覗き込んで見ると、そこに映っているのは、正真正銘の女の姿だった。


「やっぱり、戻ってないか……しょうがないかな……? とりあえず……アニス店長の所で、住み込みで働く事になっているから、荷物まとめて、早速行くとするか」


荷物は、それほどと言うか、カード一枚のみで、ショートソードを一本、持っていたが、シュガーレストで着替えさせられた時に、そこに預けてしまったので、お金も0なので、今の装備品は、水色のワンピースっぽい服装と、スカート姿で、ポケットにカードが一枚と、たったそれだけだった。

やっぱり、何かしら持っていないといけないかも?

さすがに0は不味いよね……?

とりあえず、部屋を出て、フロントに行き、従業員」の男性に


「あの、もう出て行きますね」


と告げると


「かしこまりました、では、再び、戻ってこられますか?」


「いや、戻る事はしないです」


「じゃあ、お部屋の掃除をしておきます、不用品は、こちらで処分させて頂きますね? 毎度、ご利用、ありがとうございました」


そう言っていたので、宿から外に出る事にした。

サーシャルランドという国は、気温がどうやら温かく感じるので、思いっきり夏?って感じの気温だった。今の時期が夏だとすると……雪が降る冬とかあるのかな?

まあ、この町で生活していったら、それも解るかも知れないかも?

町の中を歩いている人物の服装を見ても、涼しげな恰好をしていたり、鎧を着て、剣を腰に装備している、所謂、剣士っぽい人もいたり、頭に布を巻いて、商人っぽい感じの人もいたりして、結構にぎわっている町みたいだった。

その町の中を歩き、目的地、お菓子屋さん、シュガーレストに辿り着く。

店内に入ると、店長のアニス・レストさんが


「あ、来たわね? えっと、エルフィーさんと言うのよね? 呼び捨てで構わないかしら?」


「あ、はい、それでいいです、あの私は……」


「ああ、私の事は、アニスでも、店長でもいいわよ?」


「では、店長さんとお呼びします」


「じゃあ、早速開店準備ね? はい、これを装着して?」


一枚のエプロンを渡されたので、僕は、それを装着する事にした。

エプロンを着け終わり、アニス店長が


「じゃあ、お客が来たら呼んでね? 私は、新しいお菓子を作る作業をしているから」


「分かりました」


そう言って、アニス店長が奥の部屋に行き、店内にいるのは、僕一人になった。

一体、どんな客が買いに来るんだろうなあ……と思っていると、店の扉が開いて、十代ぐらいの金髪の髪の色をした男の子がやってきた。

とりあえずお客なので、僕は、営業スマイルで


「いらっしゃいませ」


と言うと、男の子が


「あ、いつもの人じゃないんだ? いつもは、アニスおねーさんなのに」


どうやら、常連客らしく、商品を数点、手に持って


「お会計、お願いします」


と言ってきたので、僕は


「かしこまりました」


品物を値段を確認する。

店と言っても、レジ機械がないので、自分で計算するしかなく、まあ、品物が、安いお菓子数点なので


「全部で、100ベニーになります」


「はい」


そう言って、数枚の小銭を、渡してきた。

僕は、それを受け取って


「ありがとうございました」


と言うと


「おねーさん、名前、なんていうの?」


これはこたえるべきなのかな? 一瞬迷ったが


「えっと、新しく入った、エルフィーと言います」


「エルフィーさんかあ……うん、覚えたよ? 僕は、ロクス・ジラードだよ? いっつもこのお店に買いに来てるんだ、だから、また来るね? それじゃあ」


そう言って、ロクス君は、お店から出ていく。

なんか……爽やかそうな少年みたいだけど……年、いくつなんだろ?

ちょっと背が高かったから、十三か十四ぐらいなのかな?

それ以降、お店で待っていたが、結局、お店にやってきたのは、ロクス君だけで、日が暮れてしまい、奥の部屋から、アニス店長がやって来て「どうだった?」と聞いてきたので「ロクス君が、ひとり来ただけですよ」と、答えると


「そっか、じゃあ……もう日が暮れそうだし、今日は店を閉めるわよ」


アニスさんがそう言い、閉店の準備を始めてしまった。

お店が閉店して、僕は、アニス店長に、二階の一室を譲り受ける事になった。

部屋の中を見てみると、一人暮らしには、十分なスペースがあり、キッチンも付いていたので、材料があれば調理出来るんだと思う。


「じゃあ、明日もよろしくね? あ、今日はこんなお菓子を作ったわよ? 明日、味の感想、聞かせてね? それじゃあ、お休みなさい」


そう言って、部屋からいなくなり、僕は、早速渡されたお菓子を見てみる。

見た目が茶色く、なんか……チョコクッキーみたいかも? と思い、齧ってみると

煎餅に、チョコを塗ったような感じの味がした。

まあ、旨いか不味いかと言ったら、なかなか美味しいと思うかも? これ

とりあえず食べ終わって、ベットに潜り、そのまま寝る事にした。

こうして、僕の新たな、一日が終わったのでした。


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