第3話
目が覚めると、そこにあったのは、部屋の一室だった。
この部屋が見えると言う事は……今までの出来事が全部夢で、元の自分の体になっていて、元いた世界にいるとか……思っていたんだけど……この部屋にいると言う事は、今の僕は、エルフィーとなっているって事だと思う。
体を触って確認してみると、女の子のままだしね……
と言う事は、僕がいる場所は、サーシャルランドの宿「サーシャルーン」のBクラスの宿の中って事か……
起きて、鏡で自分の姿を改めて確認してみると、そこに写っているのは、正真正銘の女の子で、男になんかこれっぽちも戻っていなかった。
「全部夢で、男に戻ってると、ちょっとは期待したんだけどなあ……しょうがない……じゃあ、まずやる事は、資金の確保かな?」
そう決意して、顔とか洗いたかったけど、部屋には水が無いので、部屋の外に出て、ロビーに向った。ロビーに辿り着くと、従業員の男性が
「ごゆっくりお休み出来ましたか?」
と聞いてきた。
ごゆっくりって、まあ寝れた事は確かなんだけど……でもちっとも快適じゃあなかったかも……とりあえず僕は、こう言う事にした。
「あと、二日は泊まれるんですよね?」
「はい、貴方様の提示した金額ですと、後二日は泊まれます」
「なら、また夜に戻ってきますね」
「かしこまりました、では部屋の中を掃除させて頂きます」
「じゃあ、お願いします」
そう言って宿を出て、外に出た。
外の天気は、空を見上げると、日が照り付けているので、雨とか降っていないので、快晴だと思われる。すぐに手持ちを確認してみると、今の所持品は、刃先がちょっと欠けている剣と一枚のカードだけだった。
「宿でお金払ったから、お金無しって事だよね……? じゃあ、どうやって稼ぐかな……」
とりあえず僕は、町の中を見て回る事にした。
町は、商業の町らしいのか、商人らしき人がたくさんいて、結構賑わっている。
しばらく歩くと、一軒のお店を見つけた。
その店のタイトルは「シュガーレスト」と言うらしく、出されている品物を見てみると、甘い匂いがしたので、どうやら、お菓子屋さんらしかった。
と言っても、ベニーは一枚も持っていないので、何も買えないんだけど……
でも、店内に置かれている商品を見てみると、本当に美味しそうに見えた。
きっと、お菓子やさんだし、甘くて美味しいんだろうなあ~……とか、考えながら、じ~っと眺めていると
「貴方、一体どうしたの?」
と、店員の女性が話しかけてきた。見た目が十代ぐらいの女性で、髪の色が白銀の色をしていて、綺麗な色をしていた。白銀って……凄い色だなあ……始めて見たかも……
「いや、美味しそう……と思いまして……」
「まあ、ここはお菓子専門のお店だからね?」
「ずっと見てると、邪魔ですよね……では」
そう言って離れようとすると、お腹が鳴った。
それを聞いた店員は
「貴方……お腹減ってるの?」
「……はあ、まあ」
「じゃあ、何か食べさせてあげるわね?」
「え、でも……お金持っていませんし、働き口を探してる途中ですから」
「そうなの? ふむ……」
女性は僕の姿をじーっと眺めた後
「うん、見た目は合格ね? 貴方、ここで働いてみる?」
「え?」
「丁度、従業員を募集しようと思っていたのよ、貴方、やってみる?」
これは、チャンスか?と思い、僕は直ぐに
「はい、お願いします!」
「じゃあ、仕事内容と食事をあげるから、中に入って? あ、私の名前は、店長のアニス・レストよ? よろしく、そう言えば、貴方は?」
そう言われて俺は、カードに書かれている名前を言う事にした。
「エルフィーです」
「じゃあ、エルフィーさん、これからよろしくね? ちなみにこの店の名前は、シュガーレストよ?」
こうして、あっという間に仕事が見つかった。
お菓子屋さんの店員か……まあ、初めてやってみるけど、クビにならないように、頑張って行くとするか……そう思う事にした。
サーシャルランドの中にあるお菓子屋さん、シュガーレストの店内に入ると、色々なお菓子が展示してあった。よく見ると、元いた世界にもあった駄菓子が、ここでもあったり、全く知らない物も結構あったりしてるみたいだった。
その店の店長さんの白銀の髪をした女性、アニス・レストさんに、最初に食事を奢ってもらう事にした。
「これでいいかしら? エルフィーさん」
そう言って俺に渡してきたのは、大きめのパンだった。
「ありがとうございます」
食えれば何でもいいので、パンを齧って見る。
食感は、パサパサしていて、ちょっと硬く、柔らかいパンじゃないみたいだった。
まあ、味が付いてるので、これだけでもイケルんだが……でも、やっぱりジャムとかバターとか塗って、食べてみたいかも……まあ、その悩みは贅沢なのかな……? そう思いながら、パンを全て食べ終わって
「ありがとうございました」
アニスさんに、お礼を言った。
「いえいえ、じゃあ早速、仕事の内容を教えるけど……まず、その服を何とかしないとね? そのままじゃあ、いけないから」
そう言って、アニスさんは奥の部屋に行き、服を持ってきた。
「サイズはどうかしら? ちょっと着せてあげるわね?」
そう言って、僕の着てる服を脱がされて、全裸にされてしまった。
普通は、ここで悲鳴とかあげるべきなのかな……とも思ったが、まあ、女同士なので、されるまま服を着替えさせられた。水色のワンピースみたいな感じの服と、下はロングスカートで、その上に、白いエプロンを付けられて
「サイズはどう? 合ってる?」
と聞いてきたので
「はい、丁度いいみたいです」
「なら、よかった、じゃあ早速仕事内容だけど、ここはお菓子店だから、お客さんが来たら、カウンターで、勘定をするだけでいいわ、で、お菓子の値段を紹介していくわね?」
そう言って、僕に品物の値段を教えてくれた。
数十分後
「まあ、大体こんな感じね? あとは、お客がいない時は、店内の掃除と、何かおつかいを頼むかも知れないわ」
「解りました、あ、あの……」
「ん、何か?」
「実は……帰る家がないんです、今は宿に泊まっていて、今日も入れて、あと二日しか泊まれないって言われてるので……」
そう言ってみると、アニス店長は
「そうね……じゃあ、ここに住む? 丁度空き部屋あるし、二階の一室があいてるけど?」
「是非、お願いします!」
「じゃあ、決まりね? 部屋を片付けをしといてあげるわね。仕事だけど、今日はもう人が来ないみたいだし、明日からお願いするわね?」
「解りました、じゃあ、私は宿に戻って、明日、再び来ますね」
「ええ、待っているわ」
よし、これで仕事と泊まる部屋を確保できたかな?
うん、アニスさんが本当に優しい人で良かった……
とりあえず、エプロンだけ外して、そのままの格好で、外に出る事にした。
ふ~……仕事は決まったし、頑張って見ようっと! と、そう決めて、お店を出て、泊まった宿「サーシャルーン」に戻ってきた。
戻ってくると、店員に
「お帰りなさいませ、貴方は確か、Bランクに泊まっている客ですね? 今日も泊まるのですよね?」
「はい、そうです」
「かしこまりました、では部屋に案内します」
そして、同じ部屋へと案内され、その部屋の中に辿り着き、とりあえず、休憩した後、寝る事にして、明日、シュガーレストに住み込みで、働く事になったのでした。
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