第1話「祐徳稲荷神社門前商店街」⑨

※場所は前線カフェ店舗内(但しオープン前日=2019年4月28日)。⑧からの続き。時間の頃は⑧の数日後21時くらい (※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。※傍点は佐賀弁です。




神那かんな:「もう大分、準備できたんじゃない」




祈里いのり:「可愛いくレイアウトできたと思うよ!w」




美琴みこと:「あとはもう、明日の開店を待つだけですね。それにしても、人間の方が言うゴールデンウィークの人出の多さが凄いですね。」




祈里いのり:「かめさんもバタバタしてたね。”せんべいどうですかー、せんべい美味しいですよー“って」




稲穂いなほ:「外国の人も多かったね!いーっぱい色んな言葉が聞こえてきてたもん。」




亜都あと:「(※少し驚いた声で)鬼神おにがみ様みたいな大きな方もいらっしゃいました!」




神那かんな:「店長、接客なんてしたことがない私たちに、しかも、こんな人が集まる時にオープンなんかしていいんですか?」




蒼羽あおば:「(※少々、怒り気味で)仕方なかったんだよ!保健所からの飲食店許可も、なかなかおりないわ。仕入先とかの兼ね合いもあって…。しかも当てにしていたバイト募集も全くなし!衣装がコスプレが不味かったのか…。(※しばらく間を空ける)まあ、ウチの社長の言う”どうにかなる”と言う通り、結果的には君たちが現れてくれたから助かったんだけど…。」




神那かんな:「店長、私たちを労働の当てにはしてほしくないんだけど…」




蒼羽あおば:「兎に角、3食飯付きだし、住み込みだし、小遣い程度だけどバイト代もあげるから…(※しばらく間を空ける)悪くない話だと思うけど…」




稲穂いなほ:「私、ここのカレー好き♪」




亜都あと:「私もここのカレーは美味しいとおもいますよ!」




蒼羽あおば:「稲穂いなほちゃんも亜都あとちゃんもありがとう。」




美琴みこと:「(※少し声を張りながら)神那かんなさんも皆も、店長さんのご厚意に甘えてるから文句は言わない。それにウカノミタマ様より、"おとぎ前線"の監視と…稲穂いなほさんの教育を頼まれているのは間違いないから…。私たちも、どちらにしても神社周辺からは出ることができないし…。」




蒼羽あおば:「その噂の結界とやらは、どこまで大丈夫だったんだ。」




美琴みこと:「稲荷神社境内いなりじんじゃけいだいと…この門前商店街もんぜんしょうてんがいまでみたいです。そこから先は私たちも、"編みぐるみ"の姿になってしまう…」




蒼羽あおば:「何で"編みぐるみ"なんだ?」




美琴みこと:「神社内にご神体しんたいとかご神木しんぼくとかあるのはご存じですよね?通常、神様達は普通に人間界へ降臨することは容易ではありますが、余りにも力が強すぎて、人間の方々が言う奇跡やら、神様によっては災害と呼ばれる超常現象が起きるんです。だから、いつも、神様たちの多くが人間界では力を抑えるために違う形をとられているんです。」




蒼羽あおば:「それが、ご神体しんたいやご神木しんぼくとかか…。」




美琴みこと:「そうです。神様達はご神体しんたいやご神木しんぼくからでも、自分の意志で自由に元に姿に戻れますが、眷属と呼ばれる神気のないものや、亜都あとちゃんみたいに神気しんきがあっても力が弱かったり、コントロールできない物は…"おとぎ前線"が完全に開かれている時間しか人間界では本当の姿でいることはできません。もし、人間界にいる状態で突然、前線が閉じると、何かしらの物に変わってしまいます。その…石ころとか、草花とか…(※小声で口を濁らせながら)偶に良く分からない物になることも…(※普通の口調に戻る)変わる姿はそれぞれですけど…」




蒼羽あおば:「それで君たちは、"編みぐるみ"になるってことだね?」




祈里いのり:「"編みぐるみ"になるのは、この"おとぎ前線"から出入りしたものだけみたい…。亜都あとちゃんは分からないけど…」




亜都あと:「私は父から…いや隠神刑部いぬがみぎょうぶ様から、私たちのいる伊予国いよのくにの"おとぎ前線"から出るときに"編みぐるみ"に変えられて…薄っすらとですが、父がどなたかに私を預けたところ……まででは覚えてます。その後は…、皆さんのご存じの通り…。」




神那かんな:「誰かね…。でも、亜都あとちゃんの"編みぐるみ"は、店長のところの社長さんだっけ?その社長さんが持ってきたんでしょう?」




蒼羽あおば:「社長からは、”可愛い編みぐるみをもらったから、お店に飾って”って言われただけだ。兎に角、明日は記念すべきオープンだし、準備もこれ以上にない位に用意できたら、あとは決戦の日を待つのみだよ。」

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