第1話「祐徳稲荷神社門前商店街」⑥

※場所は前線カフェ店舗内(但しオープン準備中の状態)。⑤からの続き。時間の頃は昼頃 (※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。




<テーブルに置かれた編みぐるみを見つめる蒼羽あおばと4人…>




蒼羽あおば:「宮司さんの娘さんか…。紛れもない巫女って感じの人だったな…」




<独り言をいう蒼羽あおばをしり目に>




祈里いのり:「(※不安な声で)みんな、これってやっぱりあれだよね…」




神那かんな:「(※少し怒り気味で)どうみてもあれでしょう。」




祈里いのり:「(※頭を抱え困った声で)う~~~~ん」




沙希さき:「(※涙声で)ちょっと、ちょっと…」




蒼羽あおば:「この"編みぐるみ"も、あの子と一緒なんですか?」




<蒼羽あおば鶴亀商店つるかめしょうてんのせんべいの入っているであろう陳列棚に置かれたブリキの缶を見つめる。缶からカタカタ音がわずかに聞こえる>




美琴みこと:「(※早口で)店長!お店のシャッターをすぐに閉めてください!」




<しばらく間を置いたあと、シャーというシャッターを下ろす音>




美琴みこと:「(※焦り声で)く、来るわよ!」




<テーブルに置かれた"狐の編みぐるみ"が徐々に光輝いていく…>




沙希さき:「(※涙声で)うわー!(※たーあはトーンを落として)来たーあ!」




<"狐の編みぐるみ"が次第に輝きながら人の姿に変化する>




稲穂いなほ:「じゃーん!稲穂いなほちゃん、参上!(※しばらく間を空ける) ウカノミタマ様のおっしゃる通りだわ。この場所は、"おとぎ前線"の結界が解かれてる…。」




稲穂いなほ、店舗内を見つめる。蒼羽あおば、おとぎ前線の4名を見つめたあと、カタカタと動き続けるせんべいのブリキ缶を発見し、近づいて、それを抱える>




沙希さき:「(※慌てた声で)それは触らないで!」




神那かんな:「(※怒声で)あなたが誰か分からないけど、私達と同じ眷属なら、その缶はもとに元に戻しなさい。年長者としての命令よ!」




祈里いのり:「(※慌てた声で)そうよ!神那かんなちゃんの言う通り、その缶は元に戻して!」




稲穂いなほ:「(※納得した様な声で)お姉さま方がそう言われるのなら、わかりましたよ!(※いたずらっ子風に声色を変えて)それじゃに戻しますね」




<ポンという音がして、中から"狸の編みぐるみ"を取り出した後、手に取る稲穂いなほ。再び、ポンと缶をしめる音をして、陳列棚に置かれたあった元の場所に戻す>




女性陣4名と蒼羽あおば:(※慌てるような焦るような声で)ああああああああああああ…」




蒼羽あおば:「(※怒り声で)お前、!」




稲穂いなほ:「(※飄々とした言いぶりで)缶は戻しましたよ、(※少し笑いながら)私。」




沙希さき:「(※焦り声で)その"編みぐるみ"返して!」




稲穂いなほ:「はいはい。返しますね。(※いたずらっ子風に声色を変えて)そう、私と同じ、の姿に…」




美琴みこと:「沙希さき、残念だけど…もう手遅れみたい…」




<"狸の編みぐるみ"を床に置く稲穂いなほ。"狸の編みぐるみ"が徐々に光輝いていく…>




美琴みこと:「沙希さき、もう諦めて…」




沙希さき:「(※半泣き声で)うえええええええん…」




<"狸の編みぐるみ"が次第に輝きながら人の姿に変化する。亜都あとの姿に変わる。>




亜都あと:「(※涙声で)沙希さきさまー。酷い、酷いですよ。私にこんな仕打ちを…」




<人の姿に変わった亜都あとを見つめて、ため息をつく稲穂いなほ以外の5名(※各々、ため息をお願いします。)人の姿に変わった亜都あとに近づき声をかける稲穂いなほ




稲穂いなほ:「あなた、八百八狸はっぴゃくやたぬきね。私は稲穂いなほっていうの。この"おとぎ前線"がある稲荷神社の最高神でいらっしゃるウカノミタマ様より、そこのお姉さま方…(※小声でボソリと)1人はあなたと同じ八百八狸はっぴゃくやたぬきみたいだけど…、(※普通の口調に戻る)眷属として指導を受けなさいと恩命を受けて、やってきたんだけど…。あなたは、何故、まだ"編みぐるみ"のままだったの…」




亜都あと:「(※半泣き声で)い、い、稲穂いなほ様…」




稲穂いなほ:「稲穂いなほでいいよ。歳も余り変わらないみたいだし…」




亜都あと:「わ、私の名前は亜都あとって言います。稲穂いなほ…(※少し間を空け、喜んだ声色で)稲穂いなほちゃんが私を助けてくれたんだね。ありがとうございました。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る