第5話 後輩を見捨てる



 私は決めた。

 後輩を見捨てよう。


 おっちょこちょいで、ドジで、世話の焼ける後輩。

 甘え上手で、誰からも愛された後輩を。


 けれど、彼女は誰かに背中を預けるふりをして、その人の背中を狙う様な卑怯な人間だった。


 彼女とは部活が一緒だった。

 私は頼りない後輩を手助けしながら、一緒に努力を重ねるのが楽しかった。

 そのかいもあって、後輩は私と同じ大会の選手に選ばれた。


 けれど、当時の日。

 彼女はこっそりと、私の道具を壊していた。


 結果、私は大会に出る事ができなくなって、後輩は大会で良い成績をおさめた。

 証拠はない。

 私一人が目撃していただけ。

 話していても誰も信じてくれないだろうから、今まで黙っていた。



 けれど、その時の復讐が今ならできる。



「さようなら、あなたが犠牲になってね」

「どうしてですか、先輩! 私、何も悪いことしてないのにっ!」


 証拠が残ってないからといって、しでかした悪事が無かった事になるわけではない。


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