第50話 アルメアへ
翌日、宿屋などお世話になった人達に挨拶をして周り例のキャラバン馬車のところにやってきた。
「あたくしは馬を引き取りに行ってくるのでちょっと待っててくださいね!」
そう言うとムゥは走って行ってしまい馬車のとこで俺とゼルは待たされることになってしまった。
「後ろの馬車は普通のだね。」
「そうだね、食料もだけどよくわからない道具がいろいろ積んであるよね…。」
1台目がキャンピングカーのような大物なのに対し2台目は何の変哲もない普通のよくある荷台であった、ただし載っている物が食料などの他よくわからない道具が結構積んであるようだった。
「ムゥの奴いつの間にあんな道具買ってたんだよ…。」
「あれはムゥのじゃなくてあたしのだよ、機工系の機材を積ませてもらったんだ。」
話していると奥の方からフル装備のロゼッタが歩いてきた。
「ロゼッタ、どうしたの?これから依頼にでも行くのか?でも、出発前に挨拶できてよかったよ。」
それを聞いたロゼッタは首を傾げ何を言ってるんだ?という顔をして見せた。
「何言ってるんだ?あたしも一緒に行くんだぞ?ほら。」
そう言うとロゼッタは自分のギルドカードが所属クラフターである印の青い玉が紫色のアドベンチャラーに変わっていた。
「ムゥにはそういうことで話してたんだけど、ひょっとして聞いてなかったか?」
「初耳だよ!!」
なんと、ロゼッタはこのまま俺達の旅に同行するということらしい。
「アシスターのメンテナンスとか機工系はあたしが居ないと直せないだろ?それにすごく世話になったし恩返しも兼ねてる。」
「別に無理しなくてもいいんだぞ?」
「いや、それに一緒に探検して楽しかったんだ、だから一緒に行きたいと思ったんだよ。」
すごく嬉しいことを言われた気がする。
「とにかく、そういうことだから、これからもよろしく頼むな!」
「よろしく!」
「よろしくね!」
こうして改めて4人目の仲間としてロゼッタが加入することになり賑やかになってきた。
「お待たせしました~。」
そう言いながらムゥが二頭の馬を連れて戻ってきた、その馬はたてがみが長く普通の馬よりも足も太く逞しい前に見たバイタリスよりも一回り以上大きかった。
「大きいな…バイタリスとは違うの?」
「はい、この子達はバルダーストロングという種類でパワーと持久力、耐久力に秀でているのでございます。」
「そうなんだ。」
俺は馬達の頬をなでながら挨拶をすると応えるように顔を向けてきた。
「性格も温厚で主に忠実なのも特徴でございますね。」
「いい馬だね…。」
「バイタリスのように速くはないですけどこのキャラバンを運ぶならバルダー方が適任かと?」
「そうだね。」
「じゃあ早速引っ張ってもらう準備しましょうかね!」
そう言うとムゥは馬を馬車に繋ぎ始めた。
「ところでさ、ムゥ。」
「はい?」
「ロゼッタが加わることと言いこのキャンピングカーといい、少しは説明してからやれよ!!驚くだろうが!!」
「い~ひゃ~い~うぇふ~!!!」
俺はムゥの頬を思いっきり抓りながら今までの不満をぶつけるのであった。
「準備は済んだようですね。」
声の方を振り向くとベダロットが見送りに来てくれたようだった。
「ベダロットさん。」
「間に合ってよかった、予備は無理でしたが人数分のプロテクションマントが用意できましたのでこれも持っていってくだされ。」
「ありがとうございます、いいんですか?」
「この都市の技術が大きく進歩したのはあなた達のお陰ですしこの程度で申し訳ないくらいです。」
「十分ですよ!」
ベダロットは4人分のプロテクションマントを用意してくれたようだ、この万能マントはホントにありがたい。
「ご主人、準備できましたよ~。」
「それでは、お世話になりました!また来ますね!」
ムゥの声を聞き俺は馬車に乗り込む。
「皆さんもどうかお元気で、いつでも歓迎いたしますよ!」
ムゥがベチンと鞭をうち馬達はゆっくりと二台の馬車を引っ張り始めた。
「目的地はアルメア公国領のアンツダンジョンでございます~。」
こうして長かったドルガードでの日々に別れを告げて俺達は新たな目的地、魔獣蠢くダンジョン探索に向かうのであった。
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