四百五十五話 変態疑惑事件の真相
どうしてしほが俺の布団に潜り込んでいたのか。
詳しく話を聞いてみたところ、こんな経緯があったらしい。
「だいたい3時くらいだったかしら? ゲームを終わって眠ろうとしたらね、ふと幸太郎くんの寝顔が気になっちゃったから部屋に遊びに来たの」
「……なんで俺の服を?」
「大好きな人のお洋服を着ることに理由は必要かしら?」
「……なんで俺の布団に?」
「大好きな人のお布団で寝ることに理由は必要かしら?」
「なるほど」
大好きだったら、理由なんて不要だ。
と、俺は思っているけれど……梓は納得してないようだった。
「なるほど、じゃないよ!? おにーちゃん、霜月さんに毒されてるよ……あと、愛が重くない? もし、梓に恋人がいたとして、そんなことされたら普通にイヤだなぁ」
「そうですか? わたくしはいいと思います」
「結月おねーちゃんはダメ人間が好きだからそう思うんでしょ? 梓は絶対に無理……結月おねーちゃんと同じ考えじゃなくて良かった」
「え? あ、梓さん? もしかして、わたくしの悪口を言ってませんか???」
梓は意外と結月のことを下に見ているのだろうか。
俺のことも下に見ているので、まぁ……似た者同士の結月も舐めているのかもしれない。
……まぁ、そんなこんなで。
とりあえず、変態疑惑事件は一旦解決したと考えていいだろう。
「じゃあ、私はもうちょっと眠るわ。幸太郎くんのお布団で眠る機会なんてなかなかないもの」
「……だったら梓の布団で眠ればよくない? おにーちゃんの邪魔したらダメだよ」
「いや、俺はもう起きるから自由に使っていいぞ? リギングの掃除をしないと……」
「えー? 抱き枕がぁ……」
俺が布団から出ると、しほが名残惜しそうにしていた。
そんな彼女を見ていたら、いつまでも抱き枕でいてあげたくなるけれど……実は君が起きるまで、二時間ほど抱き枕をしてたんだよ? 変な体勢で動けなかったせいか体がちょっと痛いので、これ以上は厳しかった。
「じゃあ、あずにゃんが抱き枕になって!」
「にゃっ!? ちょっ、もう……霜月さんったら、仕方ないなぁ~」
「むふふ、分かってるわ。本当はおにーちゃんのお布団で眠る私にやきもちを妬いていたんでしょう? だからいつもより怒ってたんでしょう? 大丈夫、あずにゃんにも幸太郎くんのお布団をおすそ分けしてあげるからっ」
「そ、そんなわけじゃないけど!? あ、あああ梓はブラコンじゃないもん!!」
……背後の会話は聞いていると照れそうになるので、俺は聞こえないふりをして部屋から出ていった。
それについてくるように、結月も部屋を出る。
「わたくしは幸太郎さんの布団でなんて眠りたくないので、梓さんのお布団をお借りしますね」
「いちいちそんなこと言わなくてもいいのに……あ、そういえばキラリには連絡したのか?」
ふと、気になっていたことを思い出す。
こういうとき、竜崎は意外と頼りにならないけど、彼女は結構なんとかしてくれる気がするのだ
「キラリさんは……うーん、どうなんでしょうね? 幸太郎さんには迷惑をかけても何とも思わないのですが、キラリさんには流石に申し訳なく感じます」
「俺にも申し訳なく感じてほしいけど……一応、連絡はしておいた方がいいよ」
「……そうですね。キラリさんは面倒見がいいですから、なんとかしてくれるかもしれませんし」
と、いうことでこの直後に結月はキラリに連絡したようだ。
そして、『だからってこーくんの家に泊まるっておかしくない? あたしの家に来て』と怒られたらしい。
そんなこんなで、結月は結局一日しか俺の家に泊まらなかった。
その後は両親が返って来るまで、キラリの家にお世話になったらしい――。
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