第百三十五話(間話四) 第三者視点

 霜月さんについては、結構近寄りがたい印象がありました。

 入学当初なんて何も話さない無口な方だったので、どこか冷たい印象もありました。


 見た目も異常なほどに綺麗で、まるで別次元の人間みたいだったのです。

 でも、最近は中山さんのおかげか、すっかりその印象も薄くなりました。


 彼女は本当に、中山さんの前でだけよく笑います。

 まるでお姫様と騎士みたいな関係性です。おとぎ話みたいにお似合いの二人なので、憧れちゃいますよね。


 私も陰ながら、二人の今後については応援しています。

 どうか、幸せになってほしいものです。


 でも、だからって席替えの不正は良くないと思うのですが。


 なにせ二人はずっと席が隣同士のままです。しかもそのくじを霜月さんが作成しているので、不正は明白ですよね。


 一応、私は学級委員長なので指摘はしました。鈴木先生に是正するよう強く訴えたのですが、彼女は「えー? 不正なんてないよ~」と頭がお花畑だったので、取り合ってくれませんでした。


 頭も話し方も緩い人なのでそれは仕方ないです。

 まぁ、私は学級委員長としてやれるだけのことはやりました。後は知らないので、どうぞご勝手に……というところでしょうか。


 他の皆さんからも文句がないあたり、半ば黙認されている状態なのかもしれませんね。


 後は、そうですね……竜崎さんのことについても、もう少し触れておきましょうか。


 彼は文化祭以降、学校にこなくなりました。

 何があったのかは存じませんが、おかげで女子生徒に元気がないので、クラスの雰囲気も暗いです。


 竜崎さんはなんだかんだモテモテなので、クラスの女子は彼がいるだけで色めきます。私には理解不能ですが、そういうものなのでしょう。おかげで彼がいなくなると露骨に女子の空気が冷えるので、居心地も悪いです。


 宿泊学習の時、独りよがりな行動が目立ったので、私はあまり好きになれませんでしたが。

 しかしそんなことなかったと言わんばかりに、モテモテなまま二学期が始まったので、不思議なものですよね。


 その理由は定かではありませんが……私は中立のキャラクターなので、彼に毒されていないのかもしれません。

 おかげで第三者のようにフラットな視点で物事を見ることができるので、この立ち位置を気に入っております。


 今後、いったいどんなドラマを、彼らは繰り広げるのでしょうか。

 私はもう、彼らの物語には関わらないと思いますが……一人の級友として、それから浅倉さんの新しい友達として、皆さんの今後を見守らせていただきましょう。


 私が好きな物語は、みんなが幸せになる『ハッピーエンド』です。

 願わくば、この作品もそうなることを祈って……そろそろ、本題に戻りましょうか。


 さて、地に落ちたハーレム主人公は、今後どのように動くのでしょうか。


 謎のヴェールに包まれたモブキャラの幼馴染は、いったいどんな役割を持って次のお話に関わって来るのか。


 新たに登場するヒロインは、どんな角度から物語を動かしてくるのか。


 そして――ハーレム主人公に大勝利したモブキャラの活躍にも、期待したいところですね。


 それでは、サブキャラクターによる視点はここらへんで終わりとさせていただきます。

 今後とも引き続き、どうぞよろしくお願い致します――

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