第3話 船長の説明:胸がでかい

「出発進行」


俺は適当に徐行させていた船の舵を取って、辺りを見渡してつぶやく。


他に誰もいないけど、一応言うのがルールというかマナーだから。


「えっと、『戦い終わった今から戻る』っと。」


俺はこの船から距離を取った場所で徐行する、船長達の船本船にモールス信号を飛ばす。


モールス信号と言っても、ちゃんとした機械でやるやつじゃなくて、音を鳴らす超原始的かつ簡易的なやつ。


俺が送ってから少し経つと、本船達の方から音が聞こえてきた。


えっと……『了解。戻らずに港向かう。詳しくはそこで聞く。』


さすが船長。激しい戦闘はすぐに終わったのに、俺にしては時間がかかっていることから、何かあったと理解してくれたのだろう。


伊達に長い付き合いしてるだけじゃないな。


出会ったことからずっと、あのお胸を見せびらかす服はやめろって言ってるのに、何故か頑なにやめないんだよな。


あれかな、俺達の欲求を溜めて、悶てるところを見るのが好きなのかな。とんだ変態さんだ。


まぁ多分、あの人のことだろうしなんとなくだろうけど。


俺は苦笑いしながら、帆を降ろして港の位置を地図で確認する。


海賊たるもの、常日頃から地図と羅針盤とコンパスは持っている。あとナイフなんかも。


えっと、このまま直進で少し西側ね。オッケイ。


俺は地図で大体の方向を確認する。

本来ならもっと細かく見るけど、今回は船長達の船についていけばいいから。確認程度で済ませておく。


そんなことをしているうちに、本船がスピードをあげだした。


「よいしょっと」


俺も動力源に電気を流して加速させ、それについて行く。


航海ってのは暇だ。

本当に暇だ。


団でいるときは話し相手もいるし良いんだけど、一人となるとまぁ暇。


それが動力源を積んでる船ならなおさらのこと。


帆の位置や角度を細かく調節する必要もなく、ただ舵を持って、たまにスピード調節すればいいんだもん。本当に楽になった。


暇すぎるので、船長のことでも語ろうか。


船長の名前は、セアという。ただ、みんな船長船長と呼ぶので、名前で呼ばれることは少ない。


俺もセアと呼んだことなんて数えるくらいしかない。


ご年齢は19歳。俺の1個下だな。


性格は、よく言えば自由奔放。悪く言えば、適当オブ・ザ・適当。


彼女の中には何個か絶対にブレない芯みたいなのがあって、それだけは守ってるけど。


それ以外は本当に適当。


あれしたいこうしたい。やっぱりあっちがいい。

そんなことが日常茶飯事。


そのくせこだわりだけはあるから、たちが悪い。


ただ、基本的に優しい人だ。


うちのスペース海賊団は他の海賊と違って、基本的に他の海賊と戦うことはない。


いや、今絶賛敵の船乗っ取り中のお前が言うかと言われそうだが、今回みたいなのが例外なのだ。


女さらってパコスコやってたコイツラみたいに、何か悪いことをしてるところとは戦うこともある。


まぁ、そういう奴らはこぞってうちらと戦いたがるけどな。


なぜかって。そりゃあ船長がいるもの。


あの魅惑的なボディ。胸いっぱいの希望おっぱい。はみ出るほどの果実お尻


そして、顔もエゲツないほどに整ってると来た。


あと、うちの船長基本的に陰キャだから。


船員とか敵には強気であんな感じだが、知らない人にはものすごく人見知りする。


それが可愛らしいのだとか。


ってことで、女に飢えた男海賊団どもは、力をつけ始めたらすぐにうちと戦いに来る。


で、ことごとく負けてゆくと。


裏ではうちの船長を手懐けられたら、海賊王になれるとか言われてるらしい。


ま、あの人が手懐くことはないだろう。だって狂犬だし。


「あぁ、ムラムラして来た。」


俺はなぜかこのタイミングで欲望の波が押し寄せてきて、耐えきれずにつぶやく。


夜風に吹かれながら、欲望ダダ漏れ垂れ流し状態。


「おっぱい。おっぱい。いっぱい。おっぱい。」


地下のあれを見て一瞬萎えたけど、一人で暇だとどうしてもムラっと来てしまう。


もうかれこれ4ヶ月くらい、ご無沙汰だから。

育児放棄で訴えられるくらいには息子の相手をしていない。


もう少しの辛抱。陸につけば、そこには楽園が広がっているから。


他の船員たちとともに、お高い夜のお店に入り浸ろうではないか。


ほんと、海に出るなんて馬鹿だよ。くがが最高さ。


海賊の俺が言うかという話だが、正直海になんて出ないほうがいい。


荒波に揉まれて転覆したら死ぬし。

海賊に襲われれば死ぬし。

港についたらついたで検閲にかかれば死ぬし。

食料切れれば死ぬし。

水がなくなれば死ぬし。


もうとにかくすぐ死ぬ。

そもそも人間は、陸上で生きるようにしかできてないから。


ま、そんなことも分からねぇ俺みたいな馬鹿な奴が、海賊なんてやるんだろうけど。


「あぁ、息子さんが疼くぜ……!!! 今なら最速発射記録0分15秒を更新できそう!!」


ほら、こんなことを叫ぶ馬鹿ばっかり。


俺は誰も聞いていないことをいいことに、欲望を漏らしまくりながら港へと向かった。


「おっぱい大好きィーー!!!!!!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る