第27話 ガキンチョ、即バレる
「いらっしゃ……あら久しぶりだね」
老婆は私を見て呆れたようにそう言った。
「お久しぶりです師匠」
師匠とは言うが別に魔法を習ったわけではない。ただのお愛想だ。
「久々に街にきたのでついでに直接納品に来ました」
私は丁寧にそう言った。
「あらありがとう、あんたは仕事が丁寧で助かるよ」
師匠はそう言って触媒を受け取り、奥からお金を持ってきた。
「ほれ、運賃抜きだからその分ちょっと色をつけたよ」
わあありがとうございます。
「その娘は?」
師匠はガキンチョに気がついてそう聞いてきた。
「ああ、まあ親戚の娘みたいな」
私は曖昧に応えた。隠すつもりではないが、いきなりこれが元夫だと言ったら驚くだろう。それに師匠と私はあくまで契約関係で、師弟でも主従でもない。しかし、
「あんたの夫じゃないかその娘?」
さすが魔術師、一目で見破るとは。
「おひさしぶりです……」
ガキンチョもぺこりと頭を下げる。それを見ると師匠は大笑いした。
「小娘になっても全然変わらないねえあんたは!」
ああやっぱりそう思うんだ。
「そうですかねえ……?」
ガキンチョは不思議そうにそう言った。
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