第22話 彼女の疑問

「金鉱なんて誰かに奪われないの?」

私は当然の懸念を言った。


「……人間ってまずそう考えるよねえ」

リザードマンの彼女はそう言って鼻で溜息をついた。


「正直、あなたたちのそういう感性が信じられない」

リザードマンの彼女はそう言った。


「よくそんな感性でこんなに文化的な都市を築けるよね」

う、なんか人類を代表して欠点を指摘された感。


「戒律とか道徳とかないの?」

まさかリザードマンに道徳を諭されるなんて。いやこれも差別発言だ。訂正します。


「……いやあ、あるんですけどねえ……」

そう言うとリザードマンの彼女は不思議そうに訊いてきた。


「でもあなたたちは皆おなじ質問をする」

うう、返答にこまる。


「不思議な種族よね」

そこらへんで矛を収めてくれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る