第20話 ガキンチョ、世の中を知る

「騎士認定?あんなの田舎者しか受けないよ」

リザードマンの彼女は笑ってそう言った。


「出先で僧侶がどんな武器を使ったって判らないじゃない」

リザードマンの彼女はまこと正しい事を言った。


「まあそういうのに引っかかってくれてるから街も潤うんだけどね」

リザードマンの彼女はそう言ってあっけらかんと笑った。


「そんなにたかいの?」

ガキンチョも慣れてきたのか疑問を呈した。


「安くはない、けどちょっと意味が違うの」

リザードマンの彼女は人の悪い笑みを浮かべた。


「あれって貴族が認定してるのね」

リザードマンの彼女は説明してくれた。


「だからその貴族領以外では無効なのよ」

なんとそれは知らなかった。


「だから違う地域でそれを振りかざすと身分詐称になっちゃう」

なんとひどい話だ。


「そういう人がまた野盗になっちゃったりするのよね」

なんという負の連鎖。


「だからまた冒険者を呼び込んで、装備や訓練でお金をせしめて」

悪徳すぎる話が展開される。


「……まあ街が潤う、と」

世の中の悪の縮図を垣間見た気がする。


「ひどいはなしだ」

ガキンチョですら呆れてそう言った。

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